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無料にしたら売上も大きく上昇。バーチャル実験室アプリ「BEAKER」は高校生だった開発者の「化学って難しい」から生まれた。

ネットで話題になっていた、化学の実験ができるアプリ「BEAKER(ビーカー)」の開発者さんに、メールインタビューをしてみました。

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簡単にリーさんの自己紹介をお願いします。

THIXという会社のCEOをやっています、Li Yang(リー・ヤン)です。2011年に上海で起業して、今はニューヨークで活動しています。年齢は24歳です。

「BEAKER」をつくった経緯をおしえてくれますか?

2011年に「CHEMIST」というアプリを開発したのが、「BEAKER」のはじまりでした。なので「CHEMIST」をつくった経緯をお話しします。

キッカケは高校で習った「化学」でした。「化学」という科目って、いかんせん難しく感じませんか? というか、僕はもっと実験がしたかったんですよ。

そこで、こう考えました。「なんでも実験できる "バーチャル実験室" があったら良いんじゃないか」と。

それならつくってみようと、開発したのが、バーチャル実験室アプリ「CHEMIST」でした。

僕が初めてつくった、タブレット向けアプリです。当時は高校生だったので、18歳のときでした。

それを、2015年にスマホアプリとして、もう一度つくりなおし、新ブランドとして公開したのが「BEAKER」というアプリです。

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※CHEMIST(iOS/Android)、BEAKER(iOS/Android

「BEAKER」の開発で、苦労したところはありますか?

「BEAKER」を開発する上で、すごくチャレンジだったこと、それは現実のビーカーを再現するための、シミュレーターをつくることでした。

「バーチャルビーカー」として成立するためには、ビーカー内のあらゆる化学物質が、現実の物理法則に基づいて、デバイス上で動かないといけません。

たとえば、デバイスを振ったら、液体がゆらゆらと揺れたり、ドカンと爆発を起こしたりする。そういったことです。

それを、アルゴリズムに落とし込んで、完璧に再現できるようになるまでに、ものすごく努力が必要でした。

また、アプリ内の「効果音」も、本物に負けないくらい、リアルにしたかったので、すべて本物の実験室で、本物のビーカーをつかって録音しました。

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「ダウンロード数」はいまどのくらいですか?

現在「BEAKER」は、世界で36万ダウンロードされています。うち78%がアジアからのダウンロードです。

国別でいうと、一番多いのが中国、そして日本、韓国と続いています。

カンタンな考察に過ぎませんけど、アジアには「化学に興味のある人」が多いんじゃないかと考えています。

このアプリには、化学の知識が必要ですよね。ということは、ユーザーのほとんどは、アプリをつかえるだけの、基礎知識を持っているということです。

あと同じように、アジアのメディアやブロガーの方は、ほかの地域よりも、科学関係のコンテンツを、シェアしてくれやすいとも感じています。

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もともとは「有料アプリ」でしたが、最近「無料アプリ」に切り替えましたよね。どういう意図で、無料で公開することにしたのでしょう?

はい、1年前から「BEAKER」は、有料アプリとして公開していました。

そこから、多くのユーザーが、僕たちにこんな連絡をくれたんです。「このアプリのおかげで、すごく化学に興味を持つことができたよ!」

中には、「BEAKERのおかげで、専攻科目を化学に変えた」とまで言ってくれる方もいました。

それを見て、新しいバージョンの「BEAKER」は、ずーっと無料でつかえるアプリにしようと決めたんです。

実験室をつかうことが出来ない、生活が豊かではない国の人だっていますよね。そういった人たちにも、気軽につかってもらいたかった。

「無料アプリ」にしてから反響はどうですか?

無料化してすぐに、いろんな国のAppStoreで、ランキング1位になることも出来て、アプリの認知度が上がりました。売上もとても良くなっています。

このビジネスモデルの変更に合わせて、新しい5つのツールを、アプリ内課金で購入できるようにもしています。

あとちょうど先日、GooglePlayでも「BEAKER 2」を公開しました。こちらも無料でダウンロードできるようになっています。

このまえ「BEAKER」を、ツイッターで紹介したところ、すごく反響がありました。そこから実際に、日本のユーザーは増えましたか?

そうですね。このツイートを、1.1万人もの方がリツイートしてくださったおかげで、日本でのダウンロード数が2倍になりました。

個人的には、動画がすごく良かったと思っています。静止画よりも、実際のアプリの動画を見たほうが、すごく印象に残りますよね。

「BEAKER」のアプリを使ってくれたり、ツイッターで拡散してくださった、日本のみなさんには心から感謝しています。本当にありがとう!


※何気なくつぶやいた「BEAKER」のツイート。すごく拡散されたので「どこの国の人がつくっているんだろう?」と気になって、コンタクトしてみたところから、今回のインタビューがはじまりました。

取材協力:THIX(http://thix.co/

以上でインタビューはおしまいです。ここからはツイートが拡散される様子をウォッチしていて、わかったことなどをまとめています。

・1.2万リツイートされると、どのくらいの人に届くのか?(数値データ)
・AppStore総合ランキングに入るまでのクチコミの広がり方。
・「BEAKER」から学ぶ、アプリを海外で広めるためにやるべきコト。

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