フラットな継続率は追わない。献立アプリ「タベリー」が見ている指標と、専業主婦より働いてる女性に「献立」が求められる理由
献立アプリ「タベリー」を運営する10Xさんにお話を伺いました。ダイジェスト版は漫画でまとめています。
・10X 矢本さんツイッター(https://twitter.com/yamotty3)
・タベリー(https://tabe.ly/)
続き(詳細)は音声版で配信しています。YouTubeで「インタビュー型のラジオ」をはじめてみました。
ベータ版で試行錯誤している段階ですが、よければ聴いてみてください。
以下は、note定期読者向けに、インタビューの「テキスト+図解版」の詳細記事を配信しています。テキストで読みたい方はコチラをどうぞ ↓
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※ 株式会社10X 代表取締役CEO 矢本 真丈さん
◎ 献立アプリ「タベリー」が生まれるまで
タベリーはどのように生まれたんですか?
メルカリにいるときに、共同創業した石川とサイドプロジェクト的に、色んなプロダクトを「つくっては壊して」を繰り返していたんです。
その中のひとつがタベリーのプロジェクトでした。はじめは、プロダクトのコードを書きはじめる前に、僕が色々な検証を進めていました。
そうしたら、①大きなペインがある ②誰も解決できていない ③自分たちにはできそうだ ④お金を払ってくれる人がいる、ということがよくわかって。
それで、もうこれはやるしかないなと、起業することにしました。
現在の「タベリーのデータ」について教えてください。
タベリーは、ユーザー数は非公開なのですが、ダウンロード数では数十万、MAUだと2ケタ万人にはなっています。
今は広告費をかけずに、オーガニックにユーザーが入ってきていて、献立を決めて買い物をしてくれて、使ってもらえる状態にはなっています。
人の課題を解けていて、継続率も一定に達しているということで、プロダクトとしては良い形になっているかなと思います。
なるほど、すごいですね。
ただ、ダウンロード数やMAUって、実は全く追いかけていなくて。当初からずっと見ていたのは、「週7回アプリを使う人」の割合などでした。
いまは、タベリーのDAUをパッと見たときに、アプリを7日以上連続で使ってくれている方が、2割ほどいるという感じです。
タベリーにとっては、フラットな継続率も良い指標じゃなくて。例えば、8月って帰省や旅行や夏バテで、みんな料理しなくなるんですよ。
わかりやすくいうと「そうめん食っとけ」みたいな。精神的にバテもくる。そうするとアプリも使われません。
というのもあり、必要なシーンとタイミングでアプリを開いてもらえるか、想起とユースケースが合ってるか、というのを重視しています。
どのように「献立を考える」に課題を実感したんですか? 個人的にはそこにあまり課題を感じません。
そもそも「料理をするしない」でパキッと2種類の人に分かれるとは思う。僕はもともと料理をしてたので、料理の面倒さの肌感覚は持っていた。
ただ決定的だったのは、育休をもらったときに、妻から家事と子育てを引き取ったことがあって。要は、専業主夫をやってみたんですよ。
そしたら、料理を1日だけこなすのは簡単だけど、料理を365日続けるって、あまりに面倒でむずかしいことなんだと理解できました。
料理って、セットで買い物がくっついていて、考えるのも買い物に行くのも運ぶのも大変。すごく面倒なことに改めて気づいたんです。
とくに、僕がエントリーできそうと感じたのが「献立を考える」でした。
なるほど。
そこから、献立が面倒なのはわかったので、他の人もそう思っているか、献立が面倒な理由はなにかを調べることにも、時間をかけました。
これは「思ってる人・思ってない人」に分かれていて、思ってない人はそこまで課題を感じていないとわかりました。
一方、ペインを感じてる人もたくさんいました。例えば、小さい子どもを育てている人は、義務感や罪悪感のようなものを持っていて。
食べ物が子どもの身体をつくる、下手なものは食べさせられない、という意識があって、丁寧に料理をしたいモチベーションが高い。
そういうモチベーションに、料理の面倒さが紐づいていて、何を作ればいいか考えるのが大変だ、ということが起きていました。
◎ タベリーで「数値が改善した施策」
これまでで「数字が大きく変化した施策」はありますか?
一番効いたのは、目に見えないところでした。タベリーには現在、約15,000のレシピがあるのですが、その中にも「当たりとはずれ」があって。
はずれをバサッと切って、当たりの中だけで組み合わせて提案したら、数字がバコーンと上がったことが、何回かありましたね。
レシピの品質を見定めて「本当に良いと思うもの」だけ提案する。当たり前っちゃ当たり前ですけど、それが1番効くのがよくわかりました。
※ユーザーがつかってくれる「承諾率の高いレシピ」に絞って、レコメンドするようにしたら、数値が大きく改善された。
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