知人に「プロトタイプの感想」を聞くのは、ホームパーティで料理ふるまうようなもの。LayerX「バクラク請求書」が学んだニーズ検証の罠と「まずは市場に出す」の大切さ
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知人に「プロトタイプの感想」を聞くのは、ホームパーティで料理ふるまうようなもの。LayerX「バクラク請求書」が学んだニーズ検証の罠と「まずは市場に出す」の大切さ

アプリマーケティング研究所

LayerXさんの「バクラク請求書」の成長の裏側を取材しました。

株式会社LayerX 取締役 榎本 悠介さん(右)、執行役員 牧迫 寛之さん(左)

「バクラク請求書」について教えてください。

牧迫:
バクラク請求書(旧 LayerX インボイス)は、請求書受け取りソフトです。

受け取った請求書のデータを、AI-OCRで自動入力することで、請求書処理が「入力ゼロ」になるというサービスです。

現在は数百社に利用されていて、業務フローに一度組み込んでもらえると、ずっと継続してつかってもらえています。

請求書って会社ごとに、フォーマットが少しずつ異なるので、それを手入力していくというのが、すごく大変なんですよ。

プロダクトを運営してきて、「ココはこうして良かった」と思うことを、教えてください。

牧迫:
プロダクトをリリースするときって、「いつ公開しようか」と各社考えると思うのですが、これは「想像よりも早く出す」が正解だと感じました。

僕たちの場合は、4月に正式リリース予定だったのですが、それを3ヶ月ほど前倒して1月にリリースしたんです。これは今思うと「大正解だったな」と。

もともとは、リリース前に知人に「プロトタイプ」を見せていたのですが、そこでの反応から「これならいい感じだ」と思っていたんです。

でも、正式リリースしたら、初日から「実際のユーザー」にボコボコにされてしまったんですよ。実際には「足りない機能」がたくさんあった。

最初に商談したのは、ある製造業の会社さんだったのですが、いきなりボコボコにご指摘いただき、「そんなに甘くないな」と気付きました。

初日は10社と商談したのですが、1件も前に進まなかったですね。その日の日報には「今日は荒波の大海に出た」と書いたのを覚えてます。

どうして「プロトタイプの段階」では、問題があることに気づきにくいのでしょう?

牧迫:
知り合いなどの、リファラルベースで集めた人だと「関係性」があるので、やっぱり「ド直球の本音」は言ってもらえないためです。

そこは「割り引いて考えよう」と話していたのですが、それだけでは絶対に気づけなかった課題が、実際のユーザーに会うとバンバン出てきた。

本当に課題を持った、困っている人たちが「こんなサービスがほしかった」と問い合わせしてくれました。そして、ここの機能が足りないよね、うちの業務フローはこうなんだよと、教えてくれました。

なので、プロダクトが粗くていい。初速でドンと売れなくていい。断られて失注してもいい。それでも「まずは出すこと」をやるべきだなと。

そうすることで、その後のスピード感、PMFの拡大速度がはやくなります。これは本当に出してみないと、わからなかったことです。

なるほど。 プロトタイプと「世に出してみる」は、全然反応が違ったのですね。

石黒:
例えるなら、もしホームパーティだったら、主催者の目の前で「まずい」とは言わないじゃないですか。でも、レストランで料理を出したら、絶対にそこは言われてしまいますよね。

ホームパーティなら、オムライスを出して「これいくらお金を出せる?」と聞いても、みんなリップサービスしてくれると思うんです。

でもレストランなら、料理に対してお金をいただくので、「値段の価値を出してください」と、当たり前に言われてしまう。

なので、とにかくレストランに出そう、世にプロダクトを出そうということが、とても大事だったんですね。

正式リリースまでの「ニーズ検証」などは、どのように進めていましたか?

榎本:
最初は課題探しからはじめて、周りにヒアリングをした結果、請求書の受け取りの業務は「困っている人」が多いことに気づきました。

そこで、紙芝居式のデモで当たりをつけてから、プロトタイプをつくって、知り合いなどに見せてフィードバックをもらっていきました。

はじめは精度が低くて「使い物にならない」という反応でしたが、100社にヒアリングするまでは耐えよう、と社内で決めていて。その間にプロダクトを磨き込んだ結果、晴れて1社に「導入します」と言ってもらえました。

そこから正式リリースすることになるのですが、検証の段階ではスピードを意識したのが本当によかったです。粗くても必ずものをつくる。

やることやらないことを区別して、一番はスピードを意識する。ちゃんとし過ぎない。ドキュメントを残すとかも初期はやりませんでした。

はじめは「紙芝居形式」(スライドでイメージを見せる)でデモをつくった

牧迫:
ちなみに、最低限のプロダクトをつくるまでは、リファラルで「知人に意見を聞く」というのは、良いことだと考えています。

ただし、プロトタイプでわかるのは、「なんか良さそうだね」「導入したら効果が出そうだね」という、当たりをつけるところまで。

どんな顧客層に広げるべきか、売るために必要な機能や要件はなんなのか、そこを知るためには「実際のお客さんとの対話」が必要でした。

ほかに、プロダクト運営する中で「印象的だったこと」があれば、教えてください。

榎本:
追いかけていた、ある会社さんに断られてしまったとき、「他社プロダクトのほうが、経理業務の理解度がずっと高い」と言われたことです。

その指摘は的を得ていました。機能や理解が足りないところがありました。そこは、振り返るとチームの「目の色が変わった瞬間」でしたね。

これは、正式リリースから1ヶ月後の、2021年の2月頃の出来ごとでした。

顧客の理解度を上げるためにやったこと① 「経理の業務をエンジニアが観察したり体験する」

顧客の理解度を上げるためにやったこと② 「失注した理由を分析していく」

そうした「地道な改善」をしていくと、顧客の反応も変わってくるのでしょうか?

牧迫:
そうですね。1〜3月にボコボコに言われた課題を、4月までに潰していった結果、明らかにこれまでと反応が変わってきました。

例えば、当初は負けてばかりだったコンペにも、負けなくなってきました。機能が充実してきて「断られる理由」を潰せたのだと思います。

営業からしても「すみません。出来ないんです」という言葉が減っていき、「もちろん、できます」という言葉が増えていきました。

結果、4月からは導入社数が伸びはじめて、9ヶ月で20倍に成長できました。

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【取材協力】
株式会社LayerX:https://layerx.co.jp/
バクラク請求書:https://bakuraku.jp/invoice
榎本さん:@mosa_siru
牧迫さん:@35_mki
石黒さん:@takaya_i

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