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アフリカで「家まで車を届けて」売上100億円単位で成長した会社も。「世界へボカン」が語る、日本から越境ECで売上を伸ばすための7つのポイント。

越境ECの支援を15年行っている「世界へボカン」さんを取材しました。

世界へボカン株式会社 代表取締役社長 徳田祐希 さん

1、越境ECは「価値のマトリクス」から戦略を立てる

徳田:
越境ECといっても「商材の特性」によって売り方も変わります。僕らは「価値のマトリクス」というフレームワークで考えることを推奨しています。

上2つの「①評判価値」と「②実利価値」は売れるものを売るビジネスです。主にその会社が選ばれる理由づくりをしていく必要があります。

下2つの「③共感価値」と「④保証価値」は、売りたいモノを売るビジネスなので、お客様に商品の必要性を感じていただく必要があるんです。

そのため、いきなり広告を出しても効果がないので、まず商品を購入する「悩みや課題」を持つ人がどこにいるか、リサーチするのがおすすめです。

2、海外顧客に「ユーザーインタビュー」をする方法

徳田:
越境ECで「海外のお客様」についての解像度を高める手法としては、3つの手段でユーザーインタビューをするのはおすすめです。

すでに顧客がいる場合は、何度も利用してくれているロイヤルカスタマーにお話を聞くことで、解像度を大きく高められるケースがあります。

どんなシーンでつかっているか、どこに価値を感じてくれたのか、何と比較検討して利用を決めたか、などを聞くと発見がありますね。

顧客がまだいない場合は、インスタのハッシュタグ検索から「競合の商品」をつかっている人にDMを送って、話を聞かせてもらうのも有効です。

ほかには、Redditに「モニター募集」の広告を出して、調査したいジャンルに合ったスレッドで候補者を集めることもあります。

Redditユーザーは商品への想いが強いので、例えば「日本酒」について調べたいなら、日本酒の半端ない知識を持つ人を見つけられたりします。

実店舗もある和包丁屋さんでは、店頭で顧客にインタビューをしてみると、「店主のとても丁寧な接客のおかげで、自分に合った包丁を見つけられた」と話している人が何人もいました。

おすすめの包丁を提案してもらえたり、手入れの方法を教えてもらえたり、いい接客体験が「そこで買う理由」になっていたのです。

そこで、店頭で買ってくれた海外のお客さんに、QRコードとクーポンコードを含めたショップカードを、2枚お渡しするようにしました。2枚にするのは誰かに渡せるようにするためです。

すると、自国に帰ったあとも「包丁を購入しよう」と考えたときの第一想起になって、ECサイトの売上が約1.5倍になりました。

3、卸の相談が増える「BtoBの取引ページ」

徳田:
消費財の場合って、個人でも法人でも「検索キーワード」は同じなので、ECサイトの中に「BtoB取引のページ」を設けるのはおすすめです。

そうすることで、「ここの商品が良いと聞いたので、取り扱わせてほしい」といった、バイヤーから「卸の相談」が意外とくるんですよ。

法人向けに販売できれば、その国での流通量が増えます。すると物流コストが下がったり、ブランド認知が広がったりと、相乗効果も生まれます。

バイヤーの方から意外と「インスタDM」から連絡が来ることも多いんです。なので、インスタでDMを解放しておくのもおすすめです。

4、アフリカで「中古車のデリバリー」を提供して売上を100億円単位で伸ばした事例

徳田:
アフリカで日本の中古車を売っているある会社さんは、顧客解像度を高めて差別化したことで、売上を100億円単位で伸ばすことができました。

もともと、例えばザンビアの人が車を買おうとすると、タンザニアのダル・エス・サラームという港のある街から、車で運転して家まで帰らないといけませんでした。

でもそれだと1,000キロとか運転する必要があって大変です。東京の人が車を買うには青森から運転して帰らないといけないみたいな感じですね。

そこではじめたのが「車を売る」のではなく、お客様の街まで「車を届けてあげる」という内容の、シティーデリバリーサービスでした。

すると、あの会社に頼めば「自分の家に届けてくれて楽!」ということで、売上がどんどん伸びて100億円単位で業績が改善したんです。

輸送費や手数料収入が加わることで、キャッシュポイントが増えて、他社より中古車の仕入れ値を高くしても、利益が出るようにもなりました。

5、越境ECでは「不安の払拭+納得感」を意識する

徳田:
トップから商品ページに遷移するのではなく、商品の特徴やその人に合った商品を紹介する「商品一覧ページ」を挟むことで、ECの購入率(CVR)が高まることがあります。

理由はいきなり商品ページにいっても、購入の意思決定ができるまでの納得感がたまりきっていないからです。そのため「はじめての方向け or 目的別の選び方」などのコンテンツで、納得感を高めたほうが良いんですね。

例えるなら、店舗にモノをただ置くよりも、店長の顔入りのポップを貼って「このシーンにはこれがオススメ」などと提案してあげる感じです。

ある伝統工芸品のECサイトでは、そうしたページをつくったことで、セールとの相乗効果もありますが、月の売上が10倍になったこともあります。

6、越境ECは年の後半が「財布の紐」が緩む勝負期間

徳田:
海外のカレンダーに沿った企画も大事です。越境ECをやると体感しますが、1年間を通じて後半のほうが明らかに財布の紐が緩むんですね。

実際に年の後半に「月商の山」ができることを何度も経験しながら、その山を何回経験できたかで、ベースの売上が伸びていく越境ECも多いです。

例えば、ブラックフライデーのときには、狙っていたものを「購入する言い訳」が与えられる時期のため、言い訳購入が多く発生します。

日本で例えるなら、デパートの年始セールとか、楽天スーパーセールのようなもので、狙っていたものの購買が促進される効果があるんです。

新規顧客や口コミを集めるチャンスでもあるので、送料無料や割引などで、まずは「流通量や顧客数」を伸ばすことを優先するほうが良いです。

レビューを集めればECの購入率(CVR)も上げられます。レビューは商品の詳細ページだけではなく、トップに並べて接点を増やすのも効果的です。

7、配送手段は「2つ以上」を用意するべき理由

徳田:
越境ECでは「2つ以上の配送手段」が満足度を高めます。①時間がかかるけど安く届く、②割高だけどすぐ届く、この2つを用意すると良いです。

実際に、ある伝統工芸品のECでは、配送手段を増やしたところ、購入率(CVR)やカート離脱率の改善、問い合わせの削減につながりました。

2つ以上の配送手段を持つことは、もし片方の会社が使えなくなった時に、競合に顧客が流れてしまうリスクを防ぐ効果もあるんですよ。

僕らのクライアントでも、ある物流会社が止まったときに、複数の物流手段を持っていたことで、競合から顧客が一気に流れてきたことがあります。

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【取材協力】
世界へボカン株式会社:https://www.s-bokan.com/
徳田さん:@yukimeru0305

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