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広告頻度を調整したら「広告収益が1.2倍、課金収益が1.6倍に」カジュアルゲーム世界2,500万ダウンロードの「GAGEX」が語る、ABテストで「アプリの収益性」改善した方法

カジュアルゲームで世界2,500万DL実績のGAGEXさんにお話を伺いました。ダイジェスト版は漫画でまとめています。

GAGEX漫画01

GAGEX漫画02

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・GAGEX公式ツイッター(@GAGEX_official
・忘れないで、おとなになっても。(App StoreGoogle Play

【GAGEXさんより告知】GAGEX社では採用募集中(ゲームのエンジニアやデザイナー)とのことで、ご興味ある方は採用ページよりどうぞ。

【取材申請】取材をご希望の会社さまは、取材申請フォームよりオファーいただければと思います。(スマホアプリ以外でもOKです)

以下、note購読者向けに、インタビューの「テキスト+図解版」の詳細記事を配信しています。

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○ 初めてのタイトルが「大爆死してしまう...」

GAGEXさんについて教えてください。

GAGEXは2011年に創業した会社で、現在はカジュアルゲームの開発や、他社さんのゲームのパブリッシング業務をやっている会社です。

ただ創業当初は、GREEやモバゲーの全盛期だったこともあり、初めて出したタイトルは「神魔大戦アルマゲドン」という、ガラケー向けのソーシャルゲームでした。

ところが、このゲームは見込みが外れて大爆死してしまい、とんでもない損害額を出してしまったんです。GAGEX初の自社タイトルは失敗に終わってしまいました…。

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そこからはどうなったのでしょう?

そこからは、大手ゲーム会社の受託業務をやりつながら、なんとか1〜2年は踏ん張って食いつなぎました。

そのときに、小規模なスマホゲームを開発してみよう、ということになったのですが、どうしても予算や開発期間が限られていました。

そこで、ビジュアル要素も少なくて、なるべく低コストで開発できる、放置育成系ゲームをつくることを考えたんですね。

こうして生まれたのが、2014年に合同会社2DFantasistaさんと一緒に開発した、心にしみる育成ゲーム「昭和駄菓子屋物語」というタイトルでした。

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公開してからの手応えはどうでしたか?

ゲームを公開すると、まず国内でダウンロード数が伸びて、そこからアジアでヒットしたことで、1年目で100万ダウンロードを突破しました。

それで「これならいけるかもしれない」ということで、カジュアルゲーム事業に転換したことで、自社タイトルで食べられるようになりました。

現在までに、自社のカジュアルゲームは15本ほどつくっていて、世界で2,500万ダウンロードまで到達できました。

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○ 海外の人たちにも「昭和レトロ」がウケた理由

どうして海外で「昭和駄菓子屋物語」は伸びたのでしょう?

日本人が感じる「昭和の懐かしい感じ」というのは、海外とくにアジアの人も同じ感覚を持っていて、懐かしさがうまく伝わったんですね。

たとえば「駄菓子屋のお菓子」を見ると、味を思い出して懐かしい気持ちになりますよね、その感覚がアジアの人にはわりと共通していた。

色々な人に聞くと、日本人が感じる「懐かしいもの」って、台湾や韓国や中国でも10年遅れくらいで、流行ったものが多いみたいなんですよ。

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海外版のローカライズはどのように進めましたか?

「昭和駄菓子屋物語」のときは、軽い気持ちでローカライズしました。

カジュアルゲームって、日本で売れたら台湾でもヒットするみたいな通説があったので、ひとまず台湾向けにローカライズをしたんです。

すると、台湾での反応が良かったので、今度は中国に出してみました。そしたら、中国でもそれなりに遊んでもらえたんですね。

ちなみに中国語は、台湾では「繁体字」がつかわれていて、中国では「簡体字」がつかわれていますが、簡単にフォント変換などで対応できました。

その流れで、また韓国語でも出してみるという感じで、反応をみながら少しずつローカライズを広げていきましたね。

○ 現在のダウンロード数は「海外からが8割以上」

今のGAGEXの「カジュアルゲーム全体」だと、海外からの比率はどれくらいですか?

世界2,500万ダウンロードの約8割が海外です。比率は中国が大きいですね。「昭和駄菓子屋物語2」は中国で200万DLされています。

売上比率でみると、国内が40%ほど、中国が40%ほど、残りは韓国・台湾・英語圏ですね。海外の収益性は国内より低いです。

国内であれば、LTV 70〜80円(1ユーザー収益性)いくこともありますが、インドネシアだと1円にしかならなかったりします。

最近、伸びているのは中国です。日本の半分程の収益性にはなっています。動画リワード広告だけでみると日本よりも数値が高いですね。

アドネットワークは、Admobを主につかいながら、Unity AdsやAppLovinもつかっています。

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○ 2020年の新作「忘れないで、おとなになっても。」

GAGEXさんの最新作について教えてください。

最新作の「忘れないで、おとなになっても。」は、とある少年の視点で、夏の不思議な冒険を追体験する、シネマティックアドベンチャーです。

GAGEXでは初の3D作品で、開発も1年で終わらせるつもりが、2年以上もかかってしまって、開発にお金かけすぎてしまいました。笑

2月に公開して現在15万ダウンロード。日本版の自然流入のみの数値です。

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今のところ順調なように見えますがどうですか?

フィーチャーしていただいたり、ユーザーさんからも好評なのですが、アプリの収益性(LTV)が低い、という課題があって。

ひとつは継続の問題です。本作は5〜6時間でもクリアできるので、広告を見てもらいにくい。放置ゲームだと1週間くらいは遊んでもらえます。

もうひとつは広告との相性です。放置ゲームやハイパーカジュアルの場合、ちゃんと「やめどき」があって広告が入れやすい。

でも、アドベンチャーって「早く先が見たい!」という心理であそぶので、なかなか「やめどき」がないんですよ。

なるほど。

という課題もあったので、ABテストで「ゲームの収益性」を高められないか検証をすることにしました。

ABテストに出てくる、レクタングル広告については、ゲームのマップが切り替わるときに、一定確率で表示しています。

インタースティシャル広告は、特定の機能をつかったときに(セーブなど)一定確率で表示しています。

課金は「VIPモード(490円)」という形で、広告の削除やコインなしで章を進められたり、特典が得られるようになっています。

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○ 広告収益ABテスト① 「レクタングル広告の頻度」

どんなABテストを実施されましたか?

ゲーム内でマップ遷移する時に、表示しているレクタングル広告について、「何回に1回表示すべきなのか」を検証しました。

結果としては、4回に1回でもなく、2回に1回でもなく、「3回に1回」という広告の表示頻度が、ベストエフォートであることを示しました。

4回に1回に比べると、3回に1回のほうが、広告収益が+25%(1.25倍)に、課金収益が+65%(1.65倍)に、大きく改善されました。

頻度を少し変えただけで、翌日の継続率はほぼ変わらずに、広告と課金の収益を伸ばすことができた、ということです。

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