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約1年でMAUが1,000万人に。プロフィールサイト「リットリンク」が語るサービス成長の裏側。「LINE中心」の設計がクチコミを生んだ理由と「かわいい」の差別化戦略

プロフィールサイト作成サービス「lit.link」を取材しました。

TieUps株式会社 CEO 小原 史啓さん、共同創業者 工藤継太さん、広報 宇都彩香さん

「lit.link(リットリンク)」について教えてください。

小原:
無料でつくれるプロフィールサイトです。SNSリンクやブログやページを、写真や動画をつかってまとめることができます。

2021年1月に正式リリースして、サイトを作成したユーザーは80万人、月間のアクセス数は5,000万PV、MAUは1,000万人を突破しています。

インフルエンサーに限らず、中高生の方たちにもつかっていただいていて、自分のプロフィールをまとめるだけでなく、推しを紹介する「推し活」などにもつかわれています。

若い世代(10代〜25歳)が6割と多く、女性ユーザー(登録者)が8割を占める

「lit.link」はどのように生まれたのでしょう?

小原:
クリエイターエコノミー系のサービスに関心があり「lit.link」を作りました。ただ、開発をはじめて「最初の数ヶ月」は迷走していましたね。

先行サービスがあったので「どうにか差別化しよう」と機能を詰め込んでしまったんですよ。この機能もつけよう。あの機能もつけようと。

間違いに気付いたのは、デザインがある程度まで完成して、ユーザーとして想定していた、インフルエンサーの方に見せたときでした。

自信満々で「すごいものができたぞ」と思って見せたら、信じられないことに「これ意味がわからないです」と言われてしまったんです。

なんでも出来てわからないと。機能が多すぎて混乱させてしまったんです。

機能が多すぎた「lit.link」のプロトタイプのデザイン

「意味がわからない」と言われてどうしましたか?

小原:
「機能を絞り込もう」と決断しました。ECサイトやWEBサイトと変わらないレベルの機能をつけても、若い人には理解してもらえないと。

それで「やらないこと」を大量に決めて。半分以上は機能を削りましたね。そこからは、あくまで「プロフィールサイト」の域を出ないようにしつつ、ベストなものをつくろうとしました。

それで今度は「絞り込んだもの」を見せると理解してもらえました。機能を捨てていなかったら「ユーザー層」が広がらなかったと思います。

リリースしたときの「手応え」はどうでしたか?

小原:
最初の手応えは全然ダメでした。YouTuberさんやブロガーさんに「lit.link」を紹介してもらったのですが、登録数がまったく増えなくて。

当初は、インフルエンサーをキャスティングして「ユーザー数を伸ばそう」という戦略だったのに、反響がなくて「これはまずい」となりました。

こんなスゴイ人に紹介してもらったのに、1週間で300人しか登録が増えないとなると、これはもう成立しない…。戦略が崩れてしまったんです。

ただ、そこから数週間たつと、少しずつ登録者やPVが増えていきます。

そこからは、何が「成長の起点」になりましたか?

小原:
成長のキッカケになったのは「Clubhouse」が日本で流行ったときに、なんとかこの波に乗ろうと、いくつか仕掛けたことがあって。

まずClubhouseで「みんなが困ってること」を調べたら、ユーザーページがなかったんですよ。毎回「ユーザーID」を検索する必要があった。

そこで、lit.linkに「Clubhouseのリンク」を設定すれば、IDをコピペして楽に検索できる機能を2日でつくったら、すごく話題になったんです。

Clubhouseユーザーにとって「便利な機能」をつくった結果、そこからもうひとつ自然に起こったことがあって。

それは、Clubhouseって音声で説明しますよね。そのときに資料は配れないから、資料を「lit.linkにまとめよう」という流れが生まれたんです。

「今からこの説明をします」というときに「lit.linkの資料を見てください」という流れができて、lit.linkの話題が増えていきました。

この2つがキッカケで、1日に数万PVだったのが、最大で1日50万PV程まで跳ね上がって、以降はPVのベースもかなり上がりましたね。

工藤:
あと、明確に「伸びはじめたな」と実感したのは、インフルエンサーというよりは、芸能人やタレントの方がつかってくれたときでした。

芸能人が「あの人もこの人も」と登録してくれたときに、lit.linkの知名度が上がっていき、ユーザー数が伸びるスピードも加速しました。

インフルエンサーと拡散力は同じでも、芸能人の方のほうが「あの人もつかってるんだ。なら私も!」となる力が強いのかもしれません。

lit.linkの流入元は「インスタが60%」だそうですが、なぜこんなにインスタのニーズが高いのでしょう?

小原:
インスタは、プロフィールにひとつしかリンクを貼れないので「複数リンクが貼れないこと」への、痛みが強いのだと思います。

とくに、インスタって「私をフォローしてね」というSNSなので、主体は「私」なんですよね。だから、プロフィールへのこだわりが強い。

一方、TikTokなどは「コンテンツ」が主体で、コンテンツ単位で消費される傾向があると思うので、プロフィールまで到達しにくいのかなと。

lit.linkは「LINE」からログインできたり、LINE中心の設計になっています。これはなぜそうしたのですか?

小原:
これは意図的にそうしていて、理由は3つほどあります。

ひとつは、登録ハードルを下げるためです。アプリだと「登録ハードル」が一気に高くなってしまいますよね。

ふたつめは、WEBより「LINEでつくれるよ」となったほうが、体験価値が高いと思ったんですね。感動するし簡単にできそうじゃないですか。

友達に紹介するときも「ググって」というよりも、LINEで「リットリンク」って入れたら出るよというほうが、クチコミしやすいと思います。

あと再ログインのときも、LINEの友達検索欄から「リットリンク」と入れて、LINE認証でポチッとログインするだけ。アクセスの導線が短いんです。

登録ユーザー80万人のうち、40万人ほど(約50%)は「LINEでの登録」が占める。

lit.linkではどのような「成長サイクル」でユーザーが増えていますか?

小原:
基本的には、PVが伸びるほど登録が増えていきます。登録につながるのは、ほとんど「フッターリンク」からですね。

ただフッターリンクから登録されるのは、どのプロフィールサイトもそう。でも伸びているサービスと、伸びていないサービスがあって。

僕らがlit.linkをつくってからも、競合サービスは10個くらい出てきていて、撤退しているサービスも多いんですよ。

そんな中で、どうして「lit.linkが伸びたか」というと、これは多分ですけど「個性を伝えられた」ってことだと思うんですよね。

「個性」ってどういうことなんでしょうか…?

小原:
例えば、デザインです。実際に「4ピクチャー」という、アイコンを4つ並べたようなデザインが、ユーザー増加の要因になっていて。

もともと、日本ではプロフィールサイトって、海外発の「Linktree」が1番だったのですが、デザインが「ボタンが横に並んでる感じ」だったんですよ。

すると、デザイン的にもlit.linkとの差が分かりにくくて、実際にlit.linkを見て「これ、Linktreeだよね」と勘違いされたり、サイトにアクセスしても気づかれないことも多かったんです。

それが「4ピクチャー」を導入した瞬間に、もうパッと見たときにも「これ何だろう?lit.linkってサービスなんだ」と認識されるようになった。それは「登録する理由」にもなりますよね。

実際に、登録数の上がり方も明らかに速くなったので、やっぱりデザインで「ユニークであること」が、伝わったのが良かったのかなと。

なぜ「デザイン」に注目することができたのでしょう?

小原:
僕自身がユーザーで、僕自身がデザインできたというのが、恐らくこの辺りに気づくことができた、最大の理由だったのかなと思います。

現場のメンバーが「こうすれば可愛いですよ」と言っても「いや開発するのにいくらかかるの?」と、CEOに反論されるってあると思うんです。

可愛いに対して、CEOって理屈で「やるべき」と言いにくい。でも、CEOがデザインしていれば「可愛いからやろう」と動き出せます。

本当にデザインCEOでよかったです。CEOとデザイナーを兼務してるので、Clubhouseのときの改善も、深夜にデザインツールを開いて、ガーっと描いて2日で実装しました。

「lit.link」はCEOの小原さんが自分でデザインしている
スマホ完結で直感的に編集できるようにしたのも「ユーザー層を広げた」

ユーザーデータ① 「閲覧数よりクリック数が多い」

小原:
lit.linkのデータで面白いのは「閲覧数」より「クリック数」が大きくなるケースがあることです。つまり、1人がリンクを「複数クリック」するんです。

例えば、普通はサイトに100PVあったら、クリック率はせいぜい5〜10%。でもlit.linkでは、100PVからクリック数が300に届くこともあって。

プロフィールサイトは「どんな人かな」と興味を持ってくる人が多いので、1PVが2〜3クリックを生み出すのだと思います。

ユーザーデータ②「18歳のユーザーが多い理由」

小原:
lit.linkでもうひとつ面白いのは「18歳のユーザー」が突出して1番多いことです。これは持論ですが「理由がある」と考えています。

一昔前は「お金」を稼げば将来が安定しそうだったけど、今の子たちがはじめるのは「お金稼ぎ」よりも「影響力稼ぎ」だと思うんです。

なぜなら、発信力があれば「お金」がついてくるから。それをSNSを見て知っているから。だから、お金も含めた「将来の不安」を解消するために影響力を持とう、と考える人が多いのだと感じます。

これを僕らは「ソーシャルキャピタル」と呼んでいます。SNSでストックの資産をつくったり増やそうとしているわけです。

ユーザーデータ③「推し活での利用シーン」

宇都:
「推し活」の面白い活用例も多いです。例えば、最近って韓国アイドルの「オーディション番組」が増えているじゃないですか。

その「推し活」の文脈で「○○くんにぜひ投票してください!」といった、応援ページが「lit.link」でつくられていることがあって。

それも、複数のファンがページをつくって「一番出来が良かったもの」を、みんなでリツイートしているんですよ。

昔あった「前略プロフ」って自分が主語で「私の情報」だけ書いてたけど、これは主語が「私」じゃなくて「推しが」になっているんですね。

そういう発想は私たちにもなかったので、見つけたときは驚きました。

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【取材協力】
TieUps株式会社:https://tieups.com/
lit.link:https://lit.link/
小原さん:@Fumihiro_Ohara
工藤さん:@kudo_tieups
宇都さん:@utayk_

【告知】TieUpsさんでは、コミュニティSNS「WeClip」の未公開のビジネス機能のテストユーザーを募集中とのこと。WeClipは商品・サービスのファンづくりのコミュニティプラットフォーム。コミュニティ内の動きを分析することができるそう。ご興味ある方はこちらからお問い合わせください。

※ 以降は、マニアックな事例を5つほどnote購読者向けにまとめています。SNSへの「シェア率」を伸ばした施策、コラボ企画の隠れた効果、よく見ているKPIの話、などご興味あればご覧ください。

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