コミュニティ内の「コメントの多すぎる人」を封じ込めてはいけない。DeNAの配信アプリ「ポコチャ」100万ダウンロードまでの試行錯誤、アプリ運営で大事にしている指標
ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」を運営するDeNAさんにお話を伺いました。ダイジェスト版は漫画でまとめています。
・DeNA 水田大輔さん(https://www.facebook.com/mizuta.daisuke)
・Pococha(https://www.pococha.com/)
※ 最近カラオケ機能がついたので、ぜひつかってみてくださいとのこと。
以下、note購読者向けに、インタビューの「テキスト+図解版」の詳細記事を配信しています。
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※ 株式会社ディー・エヌ・エー 水田大輔さん
◎ 1、プライベートSNSが広まりにくい理由
水田さんはDeNAでポコチャをつくる前、起業してアプリをつくっていたのですよね?
そうですね。2012年に関西で大学に在学中に起業して、プライベートSNS(クローズドSNS)をつくっていました。
最初は「Close:」をつくって、そこからいつメンで使う「Dear」というSNSに引き継いで、累計ユーザー数は30〜40万人いました。
それなりにキャッチーなサービスで、実態以上に話題にはなったのですが、伸ばしきれずに資金調達の見通しも悪くなってしまって。
それで、株主だったDeNAに相談した結果、DeNAはそのアプリを買収する、僕としては事業売却する形で、DeNAに入ることになりました。
プライベートSNSの「Dear」は、どうして上手くいかなかったのですかね? 一見良さそうにも思います。
プライベートSNSって明確に広がりづらいんですよ。小さいネットワークでしか使われなくて、大きなネットワークに染み出ないんです。
口コミで広がるサービスって、既存のソーシャルネットワークや、口コミが媒介するネットワークに、いかにうまくのっかるかが重要です。
TikTokとかはわかりやすくて、ツイッターやLINEグループで「これおもしろいよ見て!」と、URLやコンテンツが広まるわけですよね。
つまり、みんなが何年も温めてきた、コミュニティのネットワークをジャックするような形で、広まっていきやすいんです。
たしかに、そうですね。
でも、プライベートSNSではその広がりが起こりにくいんです。
なぜかというと、輪に入っていない人に「あなたはそこに含まれていない」と知らせてしまうことになるからです。
たとえば、プリクラだとそこに入っていなくても「今度また撮りいこう!」と言えばいいから、輪に入っていない人に見せたりできます。
一方で、プライベートSNSは「誘われていない」ってことは輪に入れていない可能性が高い。関係性を浮き上がらせ過ぎてしまうんですね。
そういうところが、普及しにくい構造のサービスモデルだったのかな、と振り返って思います。
そこからDeNAでつくったのがポコチャなんですね。現在ユーザー数などどれくらいですか?
ダウンロード数としては、3月に100万ダウンロードに到達したところです。ライバーもリスナーも男女比は半々くらいになっています。
最初は僕とデザイナーとエンジニアの3人でスタートしました。開発期間は5ヶ月くらい、2017年1月にサービスを開始しました。
当初は「早くつくって早く出そう」ということで、シンプルなライブ配信機能だけつくったので、あまり差別化要素もありませんでしたね。
◎ 2、コメント数の突出したリスナーが重要な理由
ポコチャでは「どんな指標」をみて運営していますか?
配信のファンコミュニティの中に、1人2人突出したコメント数のリスナーがいるかというのは、指標として追うようにしています。
もともと僕も、1人がたくさんコメントしていると、みんながコメントしづらいから良くないかな、と思っていたんですよね。
それで、コメントの多すぎる人を「封じ込める施策」をとっていたんです。たとえば「コメントの連投」をできないようにするなどして。
そうしたら、逆効果で「全体のコメント数」が減ってしまったんですよ。
それは意外ですね。どうして減ってしまったんですかね..?
ファンコミュニティの中に、幹事やリーダーの役割をしていた人がいなくなったことで、場が回らなくなってしまったからだと考えています。
たとえば、飲み会ですごい喋る人がいたとして。
その人が、場を全部持っていってしまっているからコメント数が多いのか、場をうまく回しているからコメント数が多いのかって、ぱっと見データ上ではわからないですよね。
つまり、後者のコミュニケーションを促進させているリスナーを、除外してしまうとコミュニティが鈍化してしまうんです。
具体的には、毎日30コメントくらいする人が必ず1人はいた方が、全体のコメント数が1番多くなることが、後から分析してわかりました。
それで、コメント数が突出したリスナーがいるかどうかを、逆に途中から重視するようになったんです。
野球の応援団やアイドルのファンでも、応援団長やトップオタと呼ばれる、コミュニティのリーダー的な存在が、必ず中心にいたりしますよね。
なるほど、たしかにそうですね。
そういう「幹事型のリスナー」って、配信中にもライバーのトークを、どんどん受け止めて転がしていきます。
たとえば、そのリスナーが「わかる!みんなはどう?」とコメントして会話が盛り上がると、奥手だった人も「俺も」と話題に入ってこれます。
これは飲み会でいう「沈黙」を防ぎます。沈黙して間が生まれると「そろそろ帰ろうか」となりますよね。これは配信が終わるトリガーにもなります。
ライバーにとっては、沈黙が生まれることで「配信が盛り上がっていない」と感じる体験にも繋がる可能性があります。
そうなると、ライバーさんの継続率や配信時間にも影響するかもしれない。なので、コメントを多くしてくれるリスナーさんは重要なんです。
◎ 3、配信のコメント数が「イベントの熱量」を生み出す
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