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知育おもちゃのサブスク「トイサブ!」に聞く運営の裏側。配送会社を変えたら解約率が1.5倍になったワケ、ユーザーの満足度を高めるための「焼き鳥理論」

知育おもちゃのサブスク「トイサブ!」さんを取材しました。

株式会社トラーナ 代表取締役 志田 典道さん

「トイサブ!」について教えてください。

志田:
知育玩具のサブスクサービスです。2ヶ月に1回の頻度で、プロのスタッフが子どもの成長と個性に合わせて、おもちゃをお届けしています。

2015年にリリースして、アクティブユーザーは1.8万人を突破、0~1歳児のユーザーが60~70%を占めています。月間の解約率は5%以下です。

利用の傾向としては、お母さんのほうが情報感度が高くて、広告などを見たことをキッカケに、家族会議を経て意思決定するケースが多いようです。

実際に「土日の夕方~夜」に申し込みが増える傾向があって、これは土日に一息ついたときに家族会議が行われるから、だと解釈しています。

ユーザーさんの地域は人口動態に比例しますが、インタビューをする限り、教育に熱心なエリアに偏る傾向はあります。

東京だと世田谷区、品川区、中央区、港区のエリアは多いですし、千葉の船橋や幕張、愛知の長久手、兵庫の西宮も多い傾向にあります。

会社のスローガンは「幸せな親子時間を増やそうぜ」 
おもちゃの清掃なども全て内製化している(約200名のパートがいる)

サービスの着想と「立ち上げ期」に大変だったことなどを教えてもらえますか?

志田:
最初は「自分が欲しいから」という理由でつくりました。今、僕には4人の子どもがいるのですが、親として自分が欲しいものでした。

初期に苦労した点は、おもちゃの仕入れです。卸やメーカーさんに連絡すると「インターネットさんには売れないです」と断られてしまって。

どういうことかというと「ECだと価格が表示されて、価格競争になってしまうため、店舗を持ってないと売りたくない」ということでした。

今では実績もできてきて、様々なメーカーさんにも協力していただけるようになりましたが、最初は理解を得るのがとても大変でした。

「サブスクって売れなくなるってことだよね?」と言われることも多くて、そこは循環型で安定発注にも繋がりますよ、と粘り強く説得しました。

1.8万人のユーザーまでは、メディアで取り上げていただいたり、口コミやSNSで広げていただいたことで、じわじわと成長しました。

トイサブ!は「どういうモチベーション」で利用する方が多いのでしょうか?

志田:
知育玩具のサブスクサービスには、課題の種類が2タイプあって。1つめが「子どもに何かいいことをしてあげたい」というニーズです。

どういうことかというと、まず「共働きの家庭」が増えていることで、子育て世帯の年収は増える傾向にあります。ただ、その裏で顕在化しているのは「子どものことを考える時間」がめちゃくちゃ減るという課題なんです。

その課題にトイサブ!が刺さっていて、中には「その子に合ったおもちゃが届くことが、子どもにしてあげられる唯一のことだ」と話す方もいます。

その方は、旦那さんが単身赴任で奥さんも働いていて、保育園から帰ってくると疲れて時間がない。そういう中で、子どものために考えるプロセスを、ある種アウトソースするような感覚でつかってくれていたんです。

2つめの課題は「利便性」です。何もしなくてもおもちゃが届く、家の中にモノが増えずゴチャゴチャしない、といった感じです。

運営において「想定外の結果になった施策」があれば教えてください。

志田:
適正価格を維持するためにコストを下げようと、配送会社をA社からB社に変えたときに、お客様からクレームが殺到してしまったことがあります。

これは何年も前の話ですが、ものすごい量のクレームが来てしまって、その影響で一時期は解約率も1.5倍以上になってしまいました。

当時は僕もサポートの電話に出ていたのですが、お客様から「あなたのところの○○(物流会社名)なんだけど」と電話がかかってきて。

「配送会社を勝手にA社からB社に変えたでしょう。うちの市にB社の配送センターが何個あると思う?」とおっしゃったんです。

それで「3つくらいでしょうか…」と答えたら、「バカ言うんじゃないわよ!1つしかないのよ!そんな物流会社を選ぶなんて」とお叱りを受けて。

それを聞いて、ユーザーさんは配送会社を含めて「そのサービスの体験だ」と認識しているのだなと。物流の品質って大事だなと痛感しました。

結果的には「配送会社をもとのA社に戻す」という判断をしましたね。

逆に運営で「これはやって良かった」という工夫があれば知りたいです。

志田:
当初は普通のダンボールで送っていたのですが、途中から箱などをリニューアルしたところ、ユーザーさんからの反応が良くなりました。

とくにインスタは、綺麗なものを載せる場所から、ライフスタイルを載せる場所に変わってきたため、箱を変えてから投稿数がグッと伸びました。

あと、大きなロゴシールを貼ったことで、お子さんが「トイサブの箱だ」と認識しやすくなり、イベント感を出せるようになりました。

箱のデザインを変えると結構お金がかかりますが、シールならシーンごとに変えやすい(1枚30円程のコスト)というメリットもありますね。

他には、箱の上蓋を2段式にして、外側のフタを剥がしても、内側のフタをつけることで、そこに「着払い伝票」を貼って返しやすくしました。

届くとお子さんが「早く開けて!」と大騒ぎして、ベリベリと勢いよく箱を開けることも多いと思うので、これも評価が高かったですね。

トイサブ!の運営で「ここはポイントだった」と思うことがあれば教えてもらえますか?

志田:
お客様におもちゃを評価していただいた「評価データ」は100万件を超えていて、このデータをもとにおもちゃの選定精度を高めていることです。

おもちゃの在庫分布でいうと一定偏ってはいて、一部のおもちゃが在庫量の60〜70%を占めていて、残りが在庫量の30〜40%を占めていますね。

あとおもちゃって「握る」「入れる」「形を合わせる」「積む」みたいに、おもちゃ毎に属性値があって、円の大きさが全然違うんですよ。

つまり、① 幅広く評価されるおもちゃと、② 一部から熱烈に評価されるおもちゃがあるんですね。

効率重視なら①だけ集めればいいけど、実はユーザーさんの成長に合わせておもちゃを選定するなら②がめちゃくちゃ重要。

これを僕は「焼き鳥理論」と呼んでいて。焼き鳥の盛り合わせってモモとかねぎまの中に、レバーがいるからこそレバーって輝くじゃないですか。

モモやねぎまはみんなが好きで平均の評価も高い。一方で、レバーは好みが分かれるし平均点で見ると評価は低め。でもレバーを適切に出すことができれば、全体の満足度が上がるんですよ。

つまり、トイサブって「焼き鳥の盛り合わせ」みたいな商売なんですね。単品で勝負しているわけではなく、盛り合わせの体験で勝負している。

これには勇気も要りますが、お客さんが「これ美味しい!次も頼みます!」となれば、満足度が上がってリピートする要因になります。

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【取材協力】
株式会社トラーナ:https://torana.co.jp/
トイサブ!:https://toysub.net/
代表の志田さん:(@sdx_

【告知】トラーナさんでは「トイサブ!」の進化版のような、教育や成長発達にフォーカスした新サービスも今後つくる予定とのことで、そちらもリリースされた際には、ぜひご注目くださいとのこと。

※ 以降は、マニアックな事例を3つほどnote購読者向けにまとめています。LPでCVRが高くなった訴求ポイント、プロダクト運営で重視している指標、
子ども向けサービスの「意思決定者」の話などご興味あればご覧ください。

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