レトロに憧れる。しょぼくて不便が愛しい。機能性よりエモ重視の「ロースペック消費」を20代の女性が語る。古びた音質のスピーカーやチェキが若者に支持される理由。
4名のユーザーにインタビューしました。
目次:
1、若い世代に「レトロな商品や不便なモノ」が支持される理由
2、スマホで調べて「スクショ共有」でマイホームを買った話
3、オムツの「バラ売りセット」がフリマアプリで売買されるニーズ
4、ブランドの「商品タグ」が若い女性にフリマアプリで売れる理由
※このシリーズは定性調査を通じて、ユーザー行動や隠れたニーズを学ぶことを主目的としています。全体を正確に調査したものではありません。
1、 若い世代に「レトロや不便なモノ」が支持される理由
※ 東京都 20代 女性 社会人
最近「ハマっていること」はありますか?
半年前から「チェキ」を撮るのが、楽しくハマっています。レトロで可愛いからです。映えていない日常の写真も撮ります。
友達と撮り合った「チェキ」を、財布に入れておいたら見る度に「思い出」が思い出せたんですね。あのとき楽しかったなって。それが良くて。
実家でアルバムを見ると、幼少期のことを思い出しませんか? あんなこともあったなあって。それと同じ気持ちになれます。
だから、特別な日じゃなくても「チェキ」に残せば、記憶に残ると思って、日常生活で1日1枚くらい撮って、アルバムに保存してるんです。
スマホのカメラロールだと見返さない。遡らなくて忘れちゃうんですよ。
ほかに「チェキ」の魅力はありますか?
チェキって出てくるまで20秒とかで「やばい。今なんか変なの撮れたかも」って友達と言いながら待つのが楽しいんです。
スマホよりもいい感じに撮れます。ちょっと昔っぽくなるのがたのしいし、ピンボケしてエモくなったりする、スマホは綺麗が当たり前です。
失敗も起きやすいから、うまく撮れた感動もあるし、チェキってレアカードみたいに1枚しかないから、大事にしようと思える。
スマホの写真はコピーして、他人にいくらでも転送できるじゃないですか。でもチェキはできないから。愛着が湧くというか。
わたし「写ルンです」も好きで。何が撮れたかわからないから、現像した時にみんなで見るのも楽しくて。すると旅行が二回楽しめるんですよ。
若い人に「レトロ」がウケるのはなぜですか?
レトロに憧れがあるんですよ。家族のアルバムにはレトロな写真があって。アニメの中にもレトロな生活がある。でも、体験したことはない。
だから、そっちもやってみたいし、面白いなって思うんです。昔のレコードがあったらドキドキしませんか? それと同じ感覚だと思います。
わたしたちって、写真を撮り始めたのもスマホからだから。綺麗な写真って当たり前で「レトロな写真」にも魅力を感じます。
不便やレトロに対して「新鮮さ」を感じるんですね。
この前、300円くらいの「音質の悪いスピーカー」が、SNSで話題になっていて。なぜかというと、それで聞くと音質が「レトロ」になるから。
聴き慣れた「新しい曲」を流すだけで、知っている曲なのに昔っぽくなる。部屋に置けばその空間がレトロになるんです。
あと、古いカメラで渋谷をとったら、昔っぽくなった動画がバズっていて。それも画質がすごく悪いから、今を撮ってるのに昔の風景に見える。
キッズカメラも話題ですよね。子供用のしょぼいおもちゃのカメラだけど、低画質でレトロに撮れるから魅力なんだと思います。
ほかに「不便だから良い」と思うことはありますか。
Suicaが使えない駅も好きです。田舎の方に「切符を買わないと乗れない駅」ってありますよね。あれいいなと思います。アニメの世界みたいで。
ピッてするんじゃなくて、自分で「行き先」を選択してお金を入れて買う。「今からそこまで行くんだ」みたいな気持ちになれる。
Suicaはどこまで行こうと考えない。でもこれって不便とかじゃないんです。新しいんです。手間をかけるから楽しいんです。
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