ユーザーがほしがるものは「不合理な代替手段」から生まれる。日本初のフリマアプリ「フリル」や「B/43」を生んだチームに聞く、ユーザーインタビューで課題発掘するコツ
見出し画像

ユーザーがほしがるものは「不合理な代替手段」から生まれる。日本初のフリマアプリ「フリル」や「B/43」を生んだチームに聞く、ユーザーインタビューで課題発掘するコツ

家計簿プリカ&アプリの「B/43」さんを取材しました。

画像1

※ 株式会社スマートバンク CEO 堀井 翔太 さん、CXO takejune さん

B/43(ビーヨンサン)について教えてください。

堀井:
チャージして支払うだけで、予算管理ができる「家計簿プリカ」です。今はユーザー層としては、10〜30代が85%を占めています。

用途としては、例えば「今月は食費を○万円以内にしたい」という感じで、特定の支出が予算以内になるように、管理している方が多いです。

ペア口座もつくれるため、夫婦やパートナーで「共有で支出管理をしたい」といった使い方も増えてきていますね。

画像2

どうして「B/43」をつくろうと考えたのですか?

堀井:
ひとつは「未来からの逆算」です。イギリスのように、キャッシュレス化が順調にすごく進んで、日本でも現金の流通量が減ってきたとします。

すると、もう現金での管理って出来なくなるので、そこからデジタルに移行するための、なにか「置き換える手段」が必要になるだろうなと。

あと、世の中には「家計簿アプリ」などがたくさんあるのに、それでも課題解決されていなかったり、難しくて使うのを断念した人たちが、とても多いということに気づいたからです。

画像18

takejune:
例えば、支出の「袋分け管理」というのも根強くて、封筒に「食費いくら」「交通費いくら」と現金で分けて、生活している人も多いですね。

最近インスタやTikTokでも、無印のパスポートケースや100均のクリアケースに現金を入れて、管理する方法が話題になっています。

それを、デジタルに置き換えられないかと、B/43には「ポケット」という、お金を「使う目的」ごとに分けて管理する機能も入れました。

画像19
画像5

B/43をつくるときに、イギリスへ調査にいったそうですが、そこで気づいたことを教えてください。

堀井:
イギリスでは、キャッシュレス決済の比率が60%を超えていて、現金をほぼ使わなくても生活できるような状況でしたね。

また、チャレンジャーバンクと呼ばれる、新しい銀行のようなサービスが、すごく伸びていたので、それについても現地で調べました。

ひとつわかったのは、メインバンクからチャレンジャーバンクの口座に、生活用の資金を移して、生活している若い人が多かったことです。

給与が振り込まれたメイン口座から、「予算管理」のために生活予算だけを移して、キャッシュレスで決済したり、個人間送金をしていたんです。

きっと、日本でも同じようなことが起きるだろうと感じました。

画像11
画像26

B/43はユーザーインタビューを繰り返して、開発を進めたそうですが、どのようにインタビュー相手を見つけていますか?

堀井:
人を探すときは、フェーズでも変わるのですが、課題を抱えていそうな人がいるところを特定して、DMを送ることが多いですね。

例えば、インスタのタグで検索して、封筒で家計管理してる人を探したり、ツイッターで検索して、家計簿アプリを辞めた人にDMします。

実際に「困りごと」を抱えている人に、話を聞くイメージです。フリマアプリをつくったときは、mixiで服を売ってる人に話を聞きました。

インタビューのときは、質問集はつくるんですけど、あまり一問一答みたいにはしていなくて、質問して深ぼっていくことが多いです。

解決すべき課題って、その人にとって「独特な状況」で発生することが多いので、「どんなシーンで発生してるか」を聞くのは心がけています。

画像20
画像25

※ 堀井さんのインタビューメモ。どんなサービスをなぜつかうのか、特定のシーンまで含めて記録している。それをnotionに議事録としてまとめる。

1人の意見にもいろいろあります。「評価すべき1人の意見」なのかを判断するときに、みるべきシグナルはありますか?

堀井:
僕が意識しているのは、その人に課題があったときに、代替手段をつかっているかどうか、そして「代替手段がなにか」を見ることです。

なぜかというと、課題があったとしても、代替手段をつかってない場合は、その人にとってさしたる課題ではないと思うから。

つまり、課題を抱えつつもそれを採用する人と、課題解決のために代替手段をつかう人がいて、後者はより課題に対して深刻だということです。

とくに、代替手段を特定したときに、それが「不合理な方法」だった場合、これは僕らのサービスで解決できそうだ、と嬉しくなります。

悩みの深刻度

例えば「不合理な方法」というのは、どういうものですか?

堀井:
フリマアプリをつくったときは、読者モデルの人が、ブログで服を売ってたんですよね。ヤフオクもあるのに。それって不合理じゃないですか。

ブログにそんな機能ないのに、コメントでメアドを交換して、振り込みしてもらって服を送る、わざわざそんなことをしていました。

でも、古着屋さんに持っていけば、半額以下になってしまうし、服って値上がりしにくいものなので、オークションでは売りにくかった。

だからこそ、不合理に見える代替手段として、ブログをつかって読者に服を売っていたんですよね。それで、フリマアプリが求められていた。

そのように、ユーザーの行動から、インサイトを発掘して、実際にサービスに落とし込んでいく、ということをやっている感じです。

画像20
フリマアプリ「フリル」の初期のLP
フリマアプリ「フリル」の初期のUI

課題を「どう特定するのか」はわかったのですが、それが「大きな市場」になるかはどう判定しますか?

カラー1-2
カラー2 (2)

どうしてここまで、「たった1人の意見」を聞いて、プロダクトを開発していく文化が、浸透していったのでしょう?

堀井:
かなり昔の話ですが、僕とtakejuneとうちの兄(CTO 堀井雄太さん)って、新卒で入った会社が一緒だったんですよね。

それで、休日にプロダクトをつくったら、全然ヒットしなかったんですよ。もう瞬間だけつかわれて終わり。全然ダメでしたね。

そこから起業をして、フリマアプリを「ブログで服を売ってる人」とかに、ちゃんと話を聞いてつくったら、成功したという体験があって。

やっぱり思い込みだったり、海外で流行ってるからという理由でつくると、課題を考えずにつくるから、うまくいかなかったのかなと。

takejune:
そうですね。僕たちは「ふつうの人」に、使ってもらえなかった失敗の体験があって、それが今でも「怖いことだ」と認識しているんです。

人につかってもらうって、そんなに簡単なことじゃないぞと。だから、1人の意見を大事にしているところは、あるのかもしれません。

画像27

 B/43のカードのデザインで「こだわったところ」があれば、教えていただけますか?

takejune:
デザイン的な視点では、番号などを裏面にのせることで、台紙にのってカードが届いたときに、写真を撮ってSNSにのせやすくしました。

この色の感じは「MONZO」というイギリスのカードが、30メートル先で落としてもわかるような色になっていて、そこから着想を得ています。

それと、人間の目線は「左上から右下」に移行するので、サービス名をまず一番に見てほしいという意図で、サービスロゴを左上にしました。

あと、シンプルな「ロゴ+無地」のカードって、最近増えてきているので、かっこいいけどコモディティ化するなと予測していて。それでスラッシュを斜めに入れて、ツートンカラーにしています。

画像3

これまでで「印象的な結果になった施策」はありますか?

堀井:
初期にやった「招待キャンペーン」は、ものすごく登録は伸びたのですが、うまくいきませんでしたね。

なぜなら、「ポイントがほしい人」ばかり集まってしまって、ほとんど継続してプロダクトを使ってもらえなかったからです。

もともとは、招待でお互いにポイントが「300〜500円分」もらえるようにして、1人が招待できる上限を「2人まで」にしていました。

そこから、もっと使われるようにと「上限を解放」したら、すごい勢いで1,000人くらい登録されたんですよ。でも、継続はされませんでした。

takejune:
お金で来た人は、お金をあげている間はいてくれるのですが、お金を配らなくなった瞬間にいなくなるので、お金で繋がるのは難しかったです。

ちゃんと「利便性」で繋がらないといけないですね。お金で入ってきて、利便性で残ってくれる、というのはあるとは思うんですけど。

招待キャンペーン

UXライティングにおける工夫

カラー3-2
カラー4-1 (1)
画像7

-----

【取材協力】
株式会社スマートバンク:https://smartbank.co.jp/
B/43:https://b43.jp/
CEO 堀井さん:@shota
CXO takejuneさん:@takejune

【告知】スマートバンクさんでは採用も募集中。エンジニア、マーケター、UXリサーチャー、広報など募集しているそう。ご興味のある方は下記サイトよりどうぞ。

※ 以降は、マニアックな事例を5つほどnote 購読者向けにまとめています。FAQのUXライティング、オンボーディングの離脱率を改善した施策、PMFサーベイの手法、などご興味あればご覧ください

この続きをみるには

この続き: 1,708文字 / 画像7枚
この記事が含まれているマガジンを購読する
月7本程のノートをお届けします。マーケティングの事例やデータを学びたい人におすすめです。マネタイズや集客の施策、海外のデータや事例、ユーザーインタビュー等が中心です。蓄積された一部の過去記事は3年分くらい遡って読めます。クレカ決済だと初月無料なのでお試しでもぜひ。

スマホアプリ市場について学べるマガジンです。アプリやプロダクトの売上やユーザー数を伸ばしたい人にオススメです。月に7記事ほどお届けします。

☞ツイッターでマーケティング情報を発信中。取材募集もツイートでお知らせします ✍️

いいね嬉しいです、ありがとうございます!
アプリとスマホのマーケティング情報メディアです。漫画やイラストでプロダクト運営や事業の成功事例を発信しています。取材相談や情報提供などはツイッターDM(@appmarkelabo)まで。