ユーザーの声を広告にしてユーザー激増。日本だけで「月95万」のライブ配信される、音声配信アプリ「Spoon」が語る成功施策
音声配信アプリの「Spoon」さんにお話を伺いました。ダイジェスト版は漫画でまとめています。
・Spoon 川村さんツイッター(@by_emika)
・Spoon(https://www.spooncast.net/jp/)
【Spoonさんより告知】もしご興味ある方はぜひ「Spoon(iOS/Android)」を使って、音声配信してみてください、とのこと。
以下、note購読者向けに、インタビューの「テキスト+図解版」の詳細記事を配信しています。
-----
※ Spoon ジャパンカントリーマネージャー 川村絵美香 さん
○ Spoonについて
Spoonは音声でライブが配信できるアプリです。2016年に韓国でスタート、現在は世界20ヶ国で展開しています。
世界全体では、世界2,300万ダウンロード、月間アクティブユーザー220万人、1日に10万以上の音声コンテンツが配信されています。
日本では2018年からスタートしていて、現在では日本だけで月95万以上の配信がおこなわれています。日本サービスは12名ほどで運営しています。
※ 日本版のデータ:男女比 6:4、iOS 60%: Android 40%、年齢層 18-24歳 50%、25-34歳 30%、21時〜1時が盛り上がる
○ Spoon日本版はどう立ち上げたのか?
日本版のSpoonは最初2名でスタートしました。サービスや規約の翻訳、SNSログインのローカライズなど、細かいところからはじめましたね。
もちろん、公開時は誰も配信していなくて。すると、新規ユーザーがきても「過疎っているな」と、いなくなってしまうんですよ。
なので、最初は私がずっと配信してました。仕事が終わってから寝るまで配信をつけて。たまに人がきたら「このアプリこう使うっぽいよ」と説明していました。
並行して、配信者を集めるために、ツイッターで「声主」「カワボ」「イケボ」でユーザー検索して、DMで配信者を勧誘しました。
大体は無視されてしまいますが、たまに興味を持つ方がいて。そこから初期の人気配信者も生まれたので、これはやって良かったです。
それを繰り返すと、どの時間帯でも「何人か配信している状態」になって、そのタイミングで「CHOICE」という機能を追加しました。
「CHOICE」というのは、運営が認めるイケてるユーザーみたいな感じで、選ばれると配信が上位に表示されてバッジがつきます。
すると、自分もCHOICEに選ばれたいと、クオリティーの高い配信をする人が増えてきて、配信数や配信者数がグンと伸びました。
※ 日本での立ち上げは、初期から積極的に広告予算をつかっていたので、新規流入はそこから確保できていたそう。
○ 「ユーザーの声」をつかった広告が上手くいった
Spoonでは「ユーザーさんの声」をつかった広告施策がうまくいきました。
2018年に、Spoonで「広告につかう声を募集します」というイベントをやったら、想像以上に反応や参加率がよかったんですね。
みんな「自分の声が認められた」と思いたいと。ただ、ユーザーさんが「自然に話す声」のほうが、Spoonの体験を伝えられると思って。
そこで、良い声のユーザーさんがいたら、運営から「この声を広告につかって良いですか?」と許可を得て、広告をつくるようにしました。
すると、広告効果はとても良くて。通常広告と比べると、1インストールの集客コスト(CPI)が、30%改善されたりしました。
○ 「声の広告」の効果や効果的だった訴求など
ユーザーさんの声をつかった広告で、ツイッター広告のエンゲージメント率も上がりましたし、動画広告のインプレッション数も伸びました。
広告を気に入ってくれる人も多くて、アプリをダウンロードして、そのまま配信者を検索してファン登録する、という流れもできていました。
効果的だった訴求は「寝落ち系」です。寝れない夜に癒される声を聴こうみたいな。あと「彼女と電話してる風」も反応がよかった。
ただ、ひとつの広告に集中しすぎると「広告うざい」という声も出てしまうので、パターンを多くして露出が分散するようにしました。
○ ユーザーに気づかされた「運営の顔」が見えないことによる不安感
今年に初めて、Spoonを熱心につかってくださるユーザーさん (約10人)を、オフィスに呼んでお話を聞いてみたんですよね。
そしたら、ほぼ全員が「Spoonは誰が運営してるかわからなくて怖かった」と言っていたんです。中の人が見えないと。すごくハッとしました。
たとえば「この機能が欲しい」と要望して「ありがとうございます」と返ってきても、中の人が見えないと伝わってるかわからないと。
だからこそ、「こうしてSpoonを運営している人と話せて、すごく安心したし感動したし嬉しい」 とも言っていただけたんですね。
私はそれを言われるまで、サービスがよければ問題ないと思っていました。誰が運営しているかなんて、ユーザーは興味ないだろうと。
でも「誰が」という顔が見えないせいで不安だ、と言われて気づかされた。想いや信念を伝えていくのは、大事なことなんだなって。
面と向かってしかもらえない意見だなと。失望した時って「引退します」と静かに消えていくと思うので、知れてよかったなと。
○ 日本では「イラスト」、海外では「自撮り」が設定される
プロフィール写真やライブ配信の背景は、日本ではイラストが多いけれど、海外は自撮り写真という人が多いです。
日本のユーザーは一番プライバシーを気にします。顔も出さないし本名は出さずに「自分じゃない姿」で配信するのがメリットになってる。
日本では「配信者の自分」と「日常の自分」で分かれている感じ。他の国ではそこの距離がもっと近いんですよね。
海外では「今の自分」は見せないけど「自分の顔」は見せる。スッピンでゴロゴロしながらやってる自分は見せない。
動画だと、毎回化粧したか背景を気にしたり、洋服を気にしたりしないといけないですし、そこは面倒くさいと思われているのかなと。
ここから先は
月刊アプリマーケティング
プロダクト運営について学べるマガジンです。アプリやプロダクトの売上やユーザー数を伸ばしたい人にオススメです。月に7記事ほどお届けします。