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関連動画が1億回再生。BeReal交換アプリの「BeMatch」に聞く、TikTokマーケを起点に急成長した方法。顕在化したニーズを軸に「伸びるプロダクト」を生み出すコツ。

BeMatchさんを取材しました。

ONE株式会社 代表取締役 CEO 畠中理弥さん、取締役 築山朋紀さん(共同創業者)

⸺「BeMatch」について教えてください。

畠中:
BeRealの交換アプリです。2023年12月にリリースして、スワイプ数は6億回、マッチ数は900万回、メッセージ数は2,500万回に到達しています。

ユーザー層としては10代〜20前半が多く、異性だけではなくて同性のマッチ比率(全体の30%)もそれなりに多くなっています。

基本的には、オフラインも含めた「口コミとTikTokからの流入」をメインに成長している感じですね。

ONEは高校時代からの友達である2人が、2020年に創業したアプリの開発会社です。コミュニケーションアプリがとくに好きで力を入れています。

これまでに約10のプロダクトを開発。日本の上場企業に売却したサービスも。

⸺「BeMatch」のアイディアはどのように生まれたのでしょうか?

畠中:
アイディアとしては、顕在化していた「BeRealの交換ニーズ」を見て、解決策になるプロダクトを作ったら伸びるのでは、と考えたのが最初でした。

例えば、TikTokのBeRealのバズってる動画に「わたしとBeRealを交換しませんか?」「IDはこれです」みたいなコメントって結構あったんですよ。

X(旧Twitter)でも「BeReal 交換」と検索すると「BeRealの友達がほしい」という投稿がたくさん出てきて、こんなに交換ニーズがあるんだなと。

アメリカで「Snapchatの交換アプリ」が流行っていたのもヒントになった。

この「既に起こってる事象」に対して、それを解決するプロダクトを作ると伸びやすいみたいな方法は、元DeNAのCSO原田さんもおっしゃっていて。

また、僕の前職のpiconでも「荒野行動の懸賞付き大会」の検索アプリを、この方法で作って伸ばした経験もあったので、これはいけるのではと。

それで、「BeRealのID交換アプリ」を着想して、共同創業者のトモキに電話してすぐ家に行って、そこから約5日で開発したのが「BeMatch」でした。

App Storeの審査には約2週間かかって、2023年12月にアプリを公開した。

⸺アプリを公開してからはどうでしたか?

畠中:
最初はめっちゃ地道でしたね。TikTokのコメント欄で「BeReal交換しよう」と書いている人に「こんなアプリを作ったよ!」と声をかけたり。

SNSで「BeReal交換しよう」と投稿している人に「いいね」して回ったり、LINEのオープンチャットの「BeReal交換グループ」に参加したり。

ストア審査に少し時間がかかったので、その間にBeRealの友達を増やして、BeRealにも「アプリ開発の様子」を投稿したりもしましたね。

そういう「地道なこと」を続けていくと、数日間は1日2桁のダウンロードでしたが、少し経つと1日1,000ダウンロードまで伸びていきました。

それくらいのタイミングで、TikTokでも一般ユーザーの「BeMatchの動画」が自然にバズって、コメント欄でも「BeMatchって何?」と話題になって、ストアのランキングで上位になることができました。

なので、膨れ上がってきて顕在化していたニーズを、うまくつついたことでウワッと爆発したみたいな感覚でしたね。

それと同時に「TikTokはチャネルとしてポテンシャルが高そうだ」と感じ、そこからTikTokも頑張りはじめたという流れでした。

⸺アプリを出してみて「印象的だったこと」は何ですか?

畠中:
印象的だったのは、マッチングアプリの「ライク」を起点にしたモデルは、すごく良くできているんだなということです。

誰かを「ライク」すると、相手に「ライクされました」と通知されて、その人は気になってアプリを開き、また誰かに「ライク」をする。このサイクルが回ってユーザーがアクティブになる。これがとても優れているなと。

BeMatchは「マッチングアプリ」ではないのですが、分析画面をリロードする度に、ホントにスワイプ数がものすごい勢いで増えていきましたね。

⸺BeMatchはなぜユーザーに支持されたのでしょうか?

畠中:
BeMatchがとても良かったのは、BeRealを使ってる人が「中学生・高校生・大学生」とかの世代なので、「若い人が集まる場所」にできたことです。

BeRealには若いユーザーが集中しやすく、BeRealを必須にしたBeMatchにも同世代が集まる。この構造がプロダクトにも良い影響を与えました。

上の世代が入ってこなくて、同世代だけが集まると何が起きるかというと、プラットフォーム内の熱量がものすごく高くなるんですよ。

実際にBeMatchの公開当初、1ユーザーあたりのスワイプ数が「平均585回」という日もあって。中には1日に「数千回スワイプする人」もいました。

BeMatchでは「BeRealの写真」を必須にすることで、プロフィールの質も高くなっていて、それがマッチ率にも良い影響を与えています。

BeRealでは「無加工の写真」がデフォルトなので、BeMatchでも「無加工の写真」をもとにマッチしていくことになる。そのため「写真で嘘がつきにくく・同世代が集まる」場所になった。

築山:
あとは「旬のアプリに乗っかった」のも良かったなと。日本ってBeRealが伸びている市場で、この1年で新規ダウンロード数も10倍になっています。

ここで大事なのは、アクティブユーザーの母数ではなく、どれぐらい伸びているかなんですよ。「旬のトピックか?」が強力なファクターになっていて。

例えば、一時期BeMatchのアメリカ版のマーケも試したところ、ユーザー数はアメリカが一番多いはずですが、全然うまくいかなくて。

恐らく、アメリカでは「利用者は多いが熱量はない」みたいな状況なんだと思うんですよね。ちょっと旬が過ぎているというか。

例えば、日本で2024年に「Clubhouseの交換アプリ」と言われても、あまりピンと来ないと思うんです。旬じゃないとパッと関心が向かないので、訴求が効かないのかなと解釈しています。

なので、タイミング的にも「BeRealが伸びている、旬のトピックだった」というのも良かったかなと。

⸺TikTokを起点に「どう成長しているか?」をぜひ教えてください。

畠中:
BeMatchは、TikTokにフォーカスすることで成長していて、TikTokのBeMatchの関連動画は「再生回数が累計1億回」を超えています。

TikTokの再生数とアプリのインストール数は「割と比例するな」というのも見えてきていて。TikTokが伸びるとユーザーも増える構図になっています。

手法としては、公式のアカウントを運営したり、インフルエンサーの方にPR投稿をしてもらったり、TikTokの広告を運用したりしています。

特徴的なのは、TikTokで「伸びかけているインフルエンサー」を調査して、その方に声をかけてPR依頼のアプローチをしていることです。

ほかのSNSって、フォロワー数が線形に伸びることが多いですが、TikTokは急激にバズって突然インフルエンサーになることが多いんですよ。

そうなると、事務所や広告代理店に「まだ発見されてない人」って多くて、その伸びかけている人に連絡すれば良い条件で交渉できます。

なぜなら、事務所や代理店が間に入らず依頼できるため、それでコスパ良くPR投稿をお願いできています。これをずっと続けていますね。

伸びそうな人を探すときには、「最新の何投稿のいいね数は○○以上」とか、フォロワー数ではなくて動画のエンゲージメントで見ていますね。

ちなみに、PR投稿を依頼するときに「わたし、BeRealやってません」という人ってほぼいなくて、本当にみんなやっている感覚ですね。学生は体感95%はやっているかなと。

他には、TikTokの広告は、週に何十本もの広告クリエイティブをつくって、効果を検証してまた入れ替えて「検証の数」で勝負していますね。

プロダクトの開発を頑張っても、ユーザーまで届かないと意味がないので、僕らはマーケティングも気合を入れて頑張るようにしています。

⸺TikTokの「PR投稿の訴求」で反応率を高めた工夫はありますか?

畠中:
TikTokの訴求については、途中から「機能的な訴求」から「体験的な訴求」に寄せていったところ、動画の反応率がより良くなりましたね。

知名度の低いときには、「BeRealが交換できるよ!」という感じで、明確なペインに対して、機能で訴求をすることが多かったんです。

しかし、知名度が一定上がってくると「もう知ってるよ」となってしまうので、その先にある「友達ができるよ」といった体験を訴求しました。

ほかには、インフルエンサーさんにもBeMatchに登録してもらい「BeMatchで僕を探してみてね。」みたいな一言を入れると効果が高かったです。

すると、数千人〜数万人のファンの方が「アプリを入れて探してみよう!」となりやすく、アプリに登録する動機を生み出すことができます。

コメント欄にも「探してみます」「見つけた」みたいなコメントも増えるので動画のエンゲージメントも高くなります。

⸺ほかに「TikTokで意識していること」を教えてください。

畠中:
意識するのは「ブランディング」ですね。例えば、男性側に最適化してクリエイティブを過激にすると、女性側のマイナスブランディングになります。

極端な話ですが、露出高めの服を着ている女性の動画を広告で回すと、男性ユーザーの獲得単価(CPA)って、実際めちゃくちゃ安くなるんですよ。

しかし、オーディエンス対象を「男性だけ」に絞っても、女性にも一定数は見られるため、女性から避けられてしまうリスクも高まります。

女性のユーザーに「そういうアプリなんだ」と思われるのは避けたいので、女性から見ても抵抗感のないクリエイティブを意識しています。

⸺アプリの指標を伸ばした「成功施策」があれば教えてください。

築山:
スワイプ画面に「誰を表示するか?」という優先度の問題を、ある機能を入れるようにしたところ、アルゴリズムを凝らなくても解決できました。

もともとは「登録が古い順に25人」と「登録が新しい順に25人」を選んで、合計50人をスワイプ画面に表示していました。

ただ、これだと「真ん中のユーザー」があまり表示されません。これを解決するために開発したのが「エクスプローラー」という機能です。

具体的には「最近アプリを開いた人」「ひとことを更新した人」が表示される欄を作って、アクティブに使う人ほど表示数が伸びるようにしました。

この仕組みによって、満遍なく「ライク」が届くようになって、「誰からもライクされない」という人が少なくなったんですね。

僕らのリソースで「アルゴリズムをめっちゃ凝る」というのは難しいので、これは良い解決策だったかなと思っています。

⸺日本では「BeReal」がなぜ広まったと考えていますか?

畠中:
プロダクトの中に「不確実性」があると、そのルールの中で攻略する楽しさが生まれて、中毒性につながりやすいという仮説が一つあります。

BeRealって、盛れない写真が前提の中で、どう盛れる写真を撮るかという、ランダム性が「アプリの中毒性を高めている」と考察していて。

つまり、それを攻略するから楽しいわけです。YouTubeやTikTokで「BeRealで盛れる写真の撮り方!」という動画が出るのも、その制限のあるゲームを攻略する楽しさがあるからだと思います。

BeRealには、MAUが約4,000万人いる中で「アメリカ・日本・フランス」という3つの国が、最も主要な市場だと公表されています。

また、これらのユーザーの半数が「週6日以上」はBeRealを使用しているそうです。なので、日本は世界で見ると特殊な市場なのかなとも思います。

日本では「写真SNS」が流行りやすいですよね。PoparazziやDispoも話題になりましたし、カメラ好きが多いのかもしれません。

⸺BeMatchで「課金モデル」に挑戦する理由を教えてください。

畠中:
ソーシャルアプリって「既存の友達と仲を深めるため」に使うものが多いと思いますが、そこに課金モデルを入れると離脱しやすいと思っていて。

例えば、メッセージアプリが高額課金性になったら、別のアプリに移動してしまうと思います。なぜなら、別のアプリでも似た体験ができるので。

一方、BeMatchって「新しい人と出会えること」が他のソーシャルアプリと異なるポイントで、だからこそ課金モデルが成立すると考えています。

この「新しい人と出会える」という要素は、代替手段があまりなかったり、代替手段があっても同時並行でつかわれるという特性を持ちます。

なぜかというと、そのプラットフォームにしかいない「ユニークなユーザー」が存在するためです。並行して使われても価値が残るんですね。

マッチングアプリでいうと、Tinderとタップルを同時並行で使うというのは実際当たり前に行われていますよね。

こうした仮説を考えつつ、課金モデルで成立するソーシャルアプリを作れないかと、チャレンジしているところです。

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【取材協力】
ONE株式会社:https://0x1.company/ja  
BeMatch:https://bematch.jp/ 
ONE株式会社 畠中理弥さん築山朋紀さん

【告知】ONEさんでは、各職種にて採用中。平均年齢が約23歳と若く様々なソーシャルアプリを作っている会社です。とくにマーケターやエンジニアを探している(正社員・業務委託)とのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。

※ 以降は、+αの事例を4つほど『ここだけの話』として、note購読者向けにまとめています。BeMatchで追ってる指標は何か、インフルエンサーの承諾率を高めた工夫、TikTokの新規アカウントの検証方法、などご興味あればご覧ください。

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