既存の習慣の活用や、過去のユーザー行動の可視化など、成長アプリの成功した施策とユーザーインタビューの工夫まとめ。
Reproさん主催のウェビナーでお話した、「アプリの成功事例(総集編)+インタビューのコツ」の内容を、+αを加筆しつつまとめました。
① 多様なユースケースが成長にもつながる(TimeTree)
共有カレンダーアプリの「TimeTree」さん( 世界 4,500万ユーザー )では、使い方(ユースケース)をページにまとめて、アプリ内で紹介したところ、それを見た人のカレンダーの作成率が2倍になったそうです。
これはユースケースを起点にして、ユーザーの増加にもつなげている施策にもなっているのかなと考えています。
例えば、学生の人が家族で予定を共有していたとして、そこに「友達と宿題やテストの日程を共有しても便利ですよ」というユースケースを伝えると、学校の友達を招待して新しい用途としてもつかう、というイメージです。
つまり、ユースケースを知った「既存ユーザー」を起点に、ユーザーがユーザーを連れてくる、という構図になっています。
TimeTreeは「予定共有」がユーザー体験の中心にあって、マルチプレイ型のサービスに近く、使い方も無数にあるので「誰とどう使うのか」を拡充することが、ユーザーの拡大にもつながりやすいのだと思います。
② 過去のユーザー行動を可視化する(メルカリ)
フリマアプリの「メルカリ」さんでは、以前に検索結果から「売り切れ品」を消してみる、というABテストをしたことがあるそうです。
結果としては、「売り切れ品」を消したことで、あらゆる指標が下がってしまったとのこと。逆にいうと、「売り切れ品」があった方が、継続率や購入率にプラスの影響が出た、ということになります。
なぜそうなったかというと、この「売り切れ品」を置いておくことが、一種の演出として機能したから、だと言われています。
例えば、メルカリでゲームを買おうと検索して、「10分前に5,000円で売り切れた商品」を見かけたら、「もう少し早く見ておけば」とか「5,000円で買えるなら買いたかったな」と思ったりします。
その体験をすると、今度は買えるように「もっとこまめにチェックしよう」などと思うので、それが継続率や購入率につながるのだと思います。
抽象化するとこれは、過去のユーザー行動を可視化することで、後からくるユーザーの行動にいい影響を与える、ということだと解釈しています。
参考までに、身近な例(強いて挙げるなら)としては、
マリオカートの、1人用のタイムアタックのモードに出てくる、ベストの走行記録を可視化する「ゴースト」は、これに似ているのかなと感じます。
なぜなら、それがあることで「ここのカーブはもっとこうすれば」とか「ここのミスをなくせばタイムが上がるはず」と思いやすくなり、それがプレイ回数やプレイ時間にも影響すると思うからです。
また、宝くじ売り場の「この売り場から1等が出ました」という看板も、「身近に当たってる人がいるんだ」など思いやすくなり「次は買ってみようか」となる効果もありそうです。
このように、サービスによっては、過去のユーザーの行動記録を可視化することが、後続ユーザーに良い影響を与えるケースがあるのだと思います。
③ ユーザーの学習習慣づくりをサポートする(mikan)
英語学習アプリの「mikan」さん(600万ユーザー)では、ヘビーユーザーにインタビューをしたところ、ある共通点を発見したという。
それは「同じ時間・同じ場所」でアプリを利用している人は、学習を長く継続する傾向にある、ということ。
例えば、「お風呂の中で夜つかう」「通学中に朝つかう」など、ルーティンとしてアプリを起動することが、学習習慣を後押ししていた。
そこで、アプリ冒頭で「目標設定」と「プッシュ通知のリマインダー設定」を行なって、ルーティンのサイクルを生まれやすくした。
毎日同じような時間帯に、プッシュ通知で目標を通知して、学習の習慣化をアシストする。これによって、7日後の継続率が40%改善された。
これは、0から習慣をつくるよりは、既存の習慣にくっつけたほうが楽に習慣化しやすい、ということでもあるのかなと解釈しています。
何かそうしたものって、周りにあるかなと考えてみたのですが、身近な例として強いて挙げるなら、
キットカットのスローガンは「Have a break, have a KitKat」(休憩を取ろうキットカットを食べよう)ですが、これは休憩という「習慣的な行動」にくっつけて、想起して食べてもらう、という意味もあるのかもしれません。
マクドナルドの月見バーガーも、シーズンになると「そろそろ月見バーガーの季節か」となります。これも毎年必ずやってくる「風習」にくっつけて、想起してもらう効果もありそうです。
単に「1日1回やってね」と伝えるよりも「歯磨きの後にやってね」「寝る前にやってね」など、定期的なシチュエーションや習慣と紐づけたほうが習慣化する可能性がある、というのはあるかもしれません。
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