英語アプリ「mikan」が語る、高校生10万人を集めた選手権施策と、ヘビーユーザーの「共通項分析」で継続率を40%改善した話
400万ダウンロード突破の英語アプリ「mikan」さんにお話を伺いました。ダイジェスト版は漫画でまとめています。
以下、note購読者向けに、インタビューの「テキスト+図解版」の詳細記事を配信しています。
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※ 株式会社mikan CEO 髙岡 和正さん、プロダクトオーナー 飯田 諒さん、エンジニア 星 遼平さん、デザイナー 溝口 慎也さん
○ mikanについて教えてください
髙岡:
mikanは「はやく、ただしく、楽しく」覚えられる英単語アプリです。2014年10月に公開して、現在400万ダウンロードを突破しています。
とくに学生には人気があり、全国の学校カバー率は100%になっています。卒業生も含みますが、全国どの学校にも1人はmikanユーザーがいます。
社員は3名ですが、業務委託やアルバイトのメンバーも入れると、15名ほどでアプリを運営しています。
○ 2014年:アプリの公開前に「全国を回った」
髙岡:
mikanのプロトタイプをつくって、エンジェル投資で入ってもらっていた、クラウドワークス社長の吉田さんに、アプリを見せたところ、
「普通に出しても埋もれる。公開前に1,000人にユーザーテストして、改善してから出したほうがいい」とご意見いただいて。
それで、テストも兼ねて全国で勉強会を開きました。都道府県って約50あるし、20人ずつなら集められると思ったんですね。
リリース前のmikanをつかった「1,000単語が覚えられる」合宿型の勉強会、という感じでした(参加費は5,000円)
結局、集まったのは全国で250人くらい、売上的には×5,000円でしたが、交通費や会場費もかかるため、これ自体は赤字でした。
ただ、結果的にはそれが「変なことやってる」と、TechCrunchなどメディアで話題になり、公開から1週間で15万ダウンロードされました。
でも当時のアプリはひどくてバグだらけ。半分くらいクラッシュしていて。入ってきたユーザーもほとんど抜けてしまいました。
○ 2015年:新規事業に手を出すが「全然うまくいかない」
髙岡:
めっちゃ跳ねた後に落ち着いてきて、当時の僕らは「もうダメだ。ダウンロードは期待できない・・・」となっていました。
そこから、mikanを放置して新規アプリをつくります。弁当テイクアウト、合コンマッチング、匿名SNS、どれもうまくいきませんでした。
結局は、mikanに戻ってきます。放置期間もずっと流入があって、mikanは実はいいアプリなのでは、と思えてきたんですね。
そうして、今度は継続率などを計測しながら、mikanを再スタートします。
○ 2016年:mikanで「全国英単語選手権」を開催
髙岡:
2016年には「全国英単語選手権」という企画をやりました。
はじまりとしては、ユーザーインタビューをしていたら「いい英語アプリは友達に教えたくない」という意見が出たんですよ。
僕らとしては、いいアプリをつくれば、口コミでユーザーが増えると思っていたけど、いいアプリだから口コミしたくないと。
理由は、友達に教えたら友達も勉強できるようになるから。テストで友達に負けたくない。だから教えたくない。気持ちはわかるなと。笑
髙岡:
それなら、個人戦ではなく「高校別の団体戦」にしようと、高校別でランキングを競う「全国英単語選手権」という企画を考えました。
1位の景品は「タオルとTシャツにしよう」としたら、投資家の佐俣アンリさんが「タオルはいらない。100万円でやってみたら?」と言ってくれて。
それで、優勝校への賞金を100万円にした「全国英単語選手権」をmikan上で開催することになりました。
○ 高校生に広めた方法①「校門前でチラシ配り」
髙岡:
高校生に広めるために「チラシ配り」に行きました。
7時半くらいから校門前に行って「mikanです!」という感じで。都内の学生は慣れていて、あまり受け取ってくれなかったです。笑
でも、愛知の進学校では「なんか配ってる」と興味を持ってくれて、ひとつの高校から「2日で600人ほど」登録が増えたりしました。
チラシの中には「mikanアンバサダー」という、友達を何人か連れてきたらアンバサダー認定されてグッズがもらえる、という案内も入れました。
その高校に1人でも「mikanユーザー」が生まれば、その1人から広がっていくようにする、という仕掛けでした。
※ ある程度は「進学校」のほうが広まりやすかったそう。なおチラシは事前に学校に電話して、許可を取って配っていたとのこと。
○ 高校生に広めた方法②「教室での口コミを生む設計」
髙岡:
ルール設計は「教室での口コミは起こりやすい」と考えて工夫しました。
まず、mikanで単語を勉強するとポイントが貯まるのですが、予選は「1人1日100単語まで」しか、ポイントが加算されないようにしました。
つまり、友達を呼ばないと勝てないんです。その高校で参加者を増やさないと勝てない、口コミが生まれるルールにしました。
結果的に、教室にチラシを貼ってくれる学校も出てきました。他校の生徒と一緒になる「塾の教室」でも口コミが生まれていたと思います。
選手権がはじまると、熊本高校が最初は1位だったのですが、途中から開成や筑駒が追い上げてきました。「あの学校には負けたくない」という心理も、働いていたのかなと思います。
○ 結果:「10万人の高校生ユーザー」の集客に成功
髙岡:
結果的に、10万人の高校生が参加してくれました。1位は三重県の暁高校で、2位が開成高校でしたね。
選手権中は、ダウンロード数で通常時の2〜3倍、DAUは10倍になりました。かかったコストは、賞金100万円+チラシ代くらいでした。
全国に高校は約5,000校ありますが、3,500校から1人は参加者が出ました。高校生のユーザーが増えましたし、これはやってよかったです。
○ ヘビーユーザー分析で「7日後の継続率を40%改善」
飯田:
2019年夏に、継続率を改善するために、mikanのヘビーユーザー10人程に、インタビューして「共通する要素」を抽出してみたんですよ。
そしたら、どうやら「同じ時間に同じ場所で」つかうユーザーは、継続する可能性が高いらしいぞ、とわかってきました。
たとえば、お風呂の時間に使います、電波の弱くなる地下鉄で使います。「この時間にはmikan」と決めてる人が継続していたんです。
飯田:
そこで、チュートリアルに「リマインダー」を追加して、決まった時間にmikanを思い出してもらえるようにしました。
また「目標を持って使う人は継続しやすい」とわかったので、「1日10単語」「1日30単語」のように、目標を選んでもらうようにしました。
すると、①目標と②リマインダーによって、その後に出てくるプッシュ通知の許可率も「40%→55%」に上がりました。
自分で決めた目標を、いつリマインドするか、通知を許可する「理由づけ」が直前に行われたことで、許可率が改善したのだと思います。
髙岡:
結果的に、通知の許可率が上がり、リマインダーでアプリを開く人も増え、7日後の継続率も40%改善しましたね。
ちなみに、mikanの継続率は「アプリの起動」ではなくて、「アプリを開いて一つでも単語を勉強した人」で計測しています。
※ リマインダーは、mikanが最もアクティブに使われる「7時、12時、19時」から、選んでもらう設計にしている。
○ mikanは「自然流入のみ」でユーザーが増加中
星:
mikanは「自然流入のみ」でユーザーが増えています。ストアで「英語」等で検索してくる人が多くて、チャネルは恵まれていますね。
時期的にはとくに、新年と新学期シーズンは流入が増えます。そのタイミングでキャンペーンを打つと、反応もよくて跳ねやすいですね。
おすすめ英語アプリをまとめたブログ、英検のブログで使い方を見てから、ダウンロードしてくれる人なども多いです。
○ 「サブスクのプラン追加」で月間収益が2.5倍に
溝口:
mikanの収益は、サブスクリプションが主軸ですが、月だけではなく半年と年間プランを追加したところ、月間収益が2.5倍に伸びました。
あまりに急激に伸びたので、はじめは怖かったですね。見込み収益を「先に回収しただけ」なんじゃないかと。笑
でも、1ユーザーあたり収益(LTV)も大きく改善されていました。流入UUに対するサブスク加入率も2倍になっていました。
・ツイッター 髙岡さん、飯田さん、星さん、溝口さん
・mikan(iOS、Android)
【mikanさんより告知】mikanのデザイナーとエンジニアを採用中とのこと。(正社員・業務委託)ご興味ある方は公式サイトよりどうぞ。
※ 以降は「サブスクの価格分析」の事例など、note購読者向けにまとめています、ご興味ありましたらぜひご覧ください。
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