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TikTok×招待制で成長。新興SNSアプリの「Jiffcy」に聞く、アプリのUIを「コアな機能」に絞ったデザインに変えたら、継続率が1.3倍になった話。

テキスト通話アプリの「Jiffcy」さんを取材しました。

株式会社穴熊 代表取締役 CEO 西村 成城さん

⸺Jiffcy(ジフシー)について教えてください。

西村:
2023年4月に正式リリースした、通話感覚でテキストコミュニケーションができるテキスト通話アプリです。ユーザー数などは非公開ですが、アクティブユーザー数は過去4ヶ月で8倍に成長しています。

電話のように呼び出して、相手が応じると「入力した文字」が1文字ずつ表示される、リアルタイムトーク(テキスト)を行うことができます。

現段階では「Z世代やα世代の学生」が中心で、18歳までのユーザーが80%、全体の約70%が女性です。

主なユースケースとしては、寝る前に友達と「恋バナや愚痴」を話したり、電車の中で恋人と話したり、「声を出さないで通話のように話したいとき」に使われることが多いですね。

22時の利用が最も多く、朝と夕方の通勤通学の時間帯にも使われています。「カップル」「家族」「仲良しの友達グループ」での利用が多いです。

学生時代を含めてこれまでに約20サービスを開発。多くの失敗を経て「Jiffcy」が生まれたそう。

⸺どのように「Jiffcy」は生まれたのでしょうか?

西村:
自分が落ち込んでいたときに、仲の良い友達と「他愛もない会話をしたい」と思ったのが、Jiffcyを開発したキッカケでした。

友達と通話するほど元気ではない。でもLINEで「今ひま?」と送って3時間後に返信が来ても、そのときは別のことをやっていたりする…。

アプリを開いたときに、友達に通知が飛んで、暇な人が出てくれる「他愛もない話ができるアプリ」があったら良いなと。

それで、プロトタイプを開発してみました。テキストでリアルタイムに「他愛もない会話」ができるアプリを作ってみたら、友達と1時間会話が続くこともホントに多くて「これは価値があるかもしれないぞ」と。

最初に突き当たったのは、「友達が通知に気づいてくれない。」という課題でした。初期のバージョンでは応答率は10%程度でした。

これを解決したのが「電話的な呼び出し」でした。電話のように着信で呼び出す設計にしたところ、応答率が約8倍になったんですね。

このときに、βユーザーから「これってテキストで通話してる感じだよね。」と言われて、そこで「テキスト通話アプリ」という概念が生まれました。

TikTokからの集客と「招待制」で成長した。

⸺Jiffcyのユーザーはどのように増えていったのでしょうか?

西村:
2023年4月に「Jiffcy」を正式リリースして、TikTokに「Jiffcyの面白い会話」を投稿していくと、動画がバズってユーザーが増えていきました。

また成功したのは「招待制」にして、友達や恋人など「リアルな人間関係」で使ってもらうことで、アプリの治安を良くするという設計です。

具体的には、LINEの公式アカウントで「ウェイティングリスト」に登録してもらって、「友達と2人1組」になった人からアプリに招待しました。

2023年4月から「招待制」を開始。 → 2024年7月から「招待制」を解除して一般公開。

一緒に使う「LINEの友達の名前」を、合言葉のように入れてもらうことで、リアルで人間関係のある2人組に入ってもらえるようにしたんですね。

そのSNSが「知らない人と使われるか、リアルな人と使われるか」は初動が大事なんです。それで、最初は「リアルで知ってる人」を集めました。

また、僕らがTikTokに「Jiffcyの動画」を投稿して話題になると、ユーザーも真似して投稿してくれて、さらにアプリが広がりました。

現在では、動画プラットフォーム上の「Jiffcy」関連のショート動画は、累計1.5億回以上視聴されています。

成功施策:アプリのUIを「コアな機能」に絞ったら継続率が1.3倍に。

西村:
成功した施策としては、2024年に実施したアプリのリニューアルです。ポイントになったのは「コアな機能に絞ったこと」でした。

もともと、Jiffcyには「3つの機能」がホームに表示されていました。1つ目はメッセージを送る、2つ目はテキスト通話、3つ目は通知を送るです。

しかし、ヘビーユーザーに話を聞くと「テキスト通話」しか使っていないことに気づきました。

そこで、思いきって「テキスト通話」に絞って、残り2つは削除したところ、リテンション(継続率)が1.3倍に伸びたんですね。

長期の継続率も大幅に伸びました。最初にいかに「テキスト通話」を体験してもらうかが重要だったんです。

他には、初期からあったキャラクター(アバター)を廃止したり、デザインを黒ベースにして全年齢が使いやすい色合いにも変更しました。

海外展開も進めていて、世界100ヵ国以上のユーザーに使われています。アメリカなどでもTikTokを活用して伸びはじめています。

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【取材協力】
株式会社穴熊:https://anaguma.co.jp/
Jiffcy:App Store
株式会社穴熊 西村 成城さん

【告知】穴熊さんでは各職種で採用中。マーケターやデザイナーなど探しているとのこと。ご興味あれば下記サイトからご覧ください。

※ 以降は、+αの事例を3つほど『ここだけの話』として、note購読者向けにまとめています。継続率を高めたオンボーディングの工夫、長期継続するユーザーの共通点、アプリにハマる仕掛け、などご興味あればご覧ください。

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