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MAUが600万人を突破した「調整さん」が語る成長の裏側。リクルートからスピンアウト創業した経緯、日程調整サービスで見るべき指標。

日程調整ツールの「調整さん」を取材しました。

ミクステンド株式会社 代表取締役 北野 智大さん

「調整さん」について教えてください。

北野:
国内最大級の「日程調整ツール」です。月間アクティブユーザー数としては600万人、出欠登録数としては累計で1.6億回を超えています。

最もよく使われるのは「飲み会や旅行」などの日程調整で、全体の60~70%程を占めています。プライベートでの日程調整がメインです。

プライベートの日程調整が多いので、出勤・退勤・昼休みの時間帯などは、アクセス数がめちゃくちゃ伸びる傾向がありますね。

運営の指標は「幹事転換率」や「つかいやすさ」を追求することで成長した。

北野:
日程調整サービスの「調整さん」は、2006年に株式会社リクルートホールディングスで、実験的なサービスとして公開されました。

2014年には、新規事業に位置づけられて、本格的にチームをつくって伸ばしていくことになりました。そのときにインターンとして、僕はチームに参加することになったんですね。

初期に追っていたのは「幹事転換率」という指標でした。これはゲストとして「日程入力したユーザー」に、今度はいかにホスト(幹事)として「日程調整ページを送る側」になってもらえるかという指標です。

調整さんって、1イベントあたりだと「平均 8人くらい」の方が参加します。つまり、調整さんが価値を発揮するのは「大規模な日程調整」なんですね。2~3人だとLINEで調整したほうが早いわけです。

当時の月間アクティブユーザーは約70万人。ある程度の利用者がいたので、ゲストをホストに転換できれば、サービスも成長するはず。

そこで「幹事転換率」を追いました。例えば、日程調整が終わったゲストに「幹事としても使ってみませんか?」と訴求しました。

途中からは「ゲストの使いやすさ」を重視するようになり、何度もABテストを繰り返して、わかりやすい日程調整のデザインを目指しました。

結果的に、2014年の月間アクティブユーザーの約70万人というところから、2018年には約200万人まで成長することができました。

ただ、2018年に「調整さん」は事業譲渡することが決まります。リクルートから別の会社に移管して運営してもらうということですね。

リクルートの事業譲渡先として立候補して「調整さん」でスピンアウト創業した。

北野:
リクルートで「調整さん」の事業譲渡が決まった際は、上司に掛け合って「僕に託してほしい」と、譲渡先の候補の1つとして入れてもらいました。

僕のリクルートでの最後の2年間は、大学を中退してインターンからフリーランスに転向して、調整さんのプロダクトマネージャー兼エンジニアとして、全体の設計も担当するようになっていました。

なので、まだやり残したこともあったし、プロダクトのコントロールを自分がやっているところもあったし、「調整さん」を続けたかったんですね。

事業譲渡はいろいろな候補がある中で、今後もしっかり運営していけるか、譲渡金額など、色々な要件をもとに、譲渡先の選定が行われました。

最終的には、僕を選んでいただくことができて、2018年2月に「調整さん」をスピンアウトする形で、ミクステンドを創業しました。

独立後は「安定性や信頼性」を意識した。

北野:
今回の事業譲渡って、良く捉えられれば「開発者の想いでサービスが継続された」となるけど、悪く捉えられると「適当な会社に任せるからこうなる」というアンチパターンにもなりかねません。

なので、運営会社がリクルートから変わっても「使いづらくなった、不安定になった」と言われないように、安定性を強く意識していましたね。

例えば、当初エンジニアは僕1人だったのですが、異常があればSlackに通知が飛ぶようにして、常にスマホを見てエラーをチェックしていました。

具体的には、アクセスのエラー率が基準値を超えたらアラートを飛ばしたり、ページの読み込み時間が大幅に遅延したらアラートを飛ばしたり。

振り返ると良い方法とは言えず、アナログで泥臭いのですが、そういう閾値を設定して問題を早期発見することで、エラーを予防していました。

コロナ禍で成長した、ビジネスの日程調整ツール「TimeRex」

北野:
向かい風が吹いたのはコロナ禍でした。調整さんは「飲み会や旅行の日程調整」が半分以上を占めるため、予定が自粛で減ると利用者も激減します。

1回目の緊急事態宣言のときは、前年同月比でアクティブユーザーが50%ほど減って、景気悪化も重なり広告収益は85%ダウンしました。

このときはホントに胃が痛かったです。どうなってしまうんだろうと…。

ただコロナ禍に入る少し前に、ビジネス向けの日程調整ツール「TimeRex」をリリースしていて、こちらが逆に伸びはじめます。

これは「調整さん」のユーザーからの、「ビジネスの日程調整も便利にならないですか?」という声から開発したものです。

もう「調整さん」だけだったら、かなり売上的にもピンチでしたし、実際に事業としても縮小せざるを得なかったと思いますね。

当初は「調整さん」を主力事業として考えていましたが、直近では「TimeRex」と「調整さん」は同じぐらいの事業規模になっています。

TimeRexでは「逆営業」や「課題の大きい職種」に着目して成長した。

北野:
はじめは、僕らに営業をかけてきた会社さんに、「TimeRexから日程調整してもらえればお話を聞きますよ」と逆営業するような形で広めました。

会社のサポート窓口に、営業のお問い合わせって結構いただくんですよね。エンジニアの採用はどうですか、マーケティングを支援しますとか。

その商談の日程調整にTimeRexを使ってもらい、商談のときも「僕らが開発したツールです。よかったら使ってください」と紹介しました。

この種のツールがまだ珍しかったこともあり、「これ便利ですね!」と使いはじめてくれる方もいて、少しずつ広まっていきました。

競合としては「メールやチャット」を意識しています。なぜなら、テキストでの日程調整コストを上回らないと、ツールを使ってもらえないからです。

なので「課題の大きさ」を意識することも大切です。例えば、営業の方って「日程調整の課題」が大きいんです。日程調整の回数が多いですし、社外の人とも日程調整をたくさんするわけですよね。

実際に有料プランをつくったときも、課金転換率が高いのは営業の方でした。営業や採用やカスタマーサクセスの方のニーズは強いですね。

逆に、バックオフィスやエンジニアの方で、たまに日程調整するくらいだとチャットのほうが楽なので、必要性を感じてもらいにくいんですよ。

成功施策:余分な機能を減らしたら「日程調整の完了率」が8%改善。

北野:
TimeRexで成功した施策としては、ユーザーの意思決定コストを意識して、初回設定時にかかる負荷を減らしたことでした。

当初TimeRexでは、初期設定時に「日程調整ページ」のURLをカスタマイズできるようにしていたんですね。社名をURLの中に入れられるとか。

でも、これは機能があるからなんとなく設定しているだけで、実際はなくても問題ないのではないかと、機能を消してみることにしました。

結果としては、機能を減らしたのに「初回設定の完了率」が8.5%改善して、ユーザーさんからも「URLを変えられなくなった」という不満の声もとくに届かないという結果になりました。

必要性の低い機能によって、ユーザーさんがなんとなく使っている状態になってしまい、余計な負荷をかけさせてしまったのかなと。

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【取材協力】
ミクステンド株式会社:https://mixtend.com/
調整さん:https://chouseisan.com/
TimeRex:https://timerex.net/

【告知】ミクステンド社では、プロダクトマネージャーやマーケティングの職種などで採用中。基本はフルリモート(月1回は出社)とのこと。ご興味があれば下記サイトからご覧ください。

※ 以降は+αの事例をnote購読者向けにまとめています。TimeRexで作成完了率を8%高めた施策、課金転換につながった機能、調整さんの成長につながった判断、ご興味あればご覧ください。

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