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1週間で20万PV「ためしがき」ツイッターのトレンド入りまでにやった工夫と、AI問診サービスが語る「常識が通じない」高齢者向けUIデザインの改善事例。

WEB系プロダクトの運営者さんにインタビューしました。

<目次>
1、日本語フォントお試しサイト「ためしがき」
2、AI問診「Ubie(ユビー)」
3、建設業者マッチングサービス 「ツクリンク」
4、女性向けネット診察サービス 「スマルナ」
5、スマホ保険アプリ「justInCase」

◎1、「ためしがき」がツイッターのトレンドになるまで

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※株式会社クリモ 渡邊 達明さん

ワタナベさんは夫婦で会社をやっているんですか?

夫婦で会社をやっています。妻はブログやメディア運営をしていて、私はリモートの受託開発がメインで、空き時間にWEBサービスをつくってます。

もともと二人とも会社員だったんですけど、まず妻が会社を辞めてブログで食っていくというときに、私は会社員をやって最低限の収入を安定させて。

それで、いまは妻のブログが安定してきたのもあり、自分もそれを手伝いつつ開発の仕事をやれば、なんとかなるだろうと独立しました。

開発したサービス「ためしがき」について教えてください。

ためしがきは、商用利用できる日本語のフリーフォントを、好きな言葉を入れて試せるWebサイトで、自分があったらいいなと思ってつくりました。

開発前に「こんなサイトあったらいいな」とツイートしたところ、反響やコメントが多かったのもあり、本格的に開発スタートしました。

以前つくったサービスでは「自分の考え」だけで開発してしまい、全然使われなかったこともあったので、事前にニーズを掴めたのは良かったです。

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サイトをつくるときに「大変だったところ」はどこですか。

フリーフォントのライセンスを、ひとつずつ調べる作業が大変だったので、bosyuをつかってフォロワーの方に手伝ってもらいつつ進めました。

実装の課題は「軽量化」でした。フォントの容量が大きいと、サイトが重くなってしまうので、WOFF2という軽い形式に変換してつかいました。

サイトでつかえる漢字も、第一水準の「基本的な漢字」だけに絞ることで、軽量化してすぐ試せるサイトになるよう意識しました。

開発期間でいうと、ほぼひとりで大体1.5ヶ月くらいかけて開発しました。

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サイトを公開したときの手応えはどうでしたか?

公開ツイートを拡散してもらえたのと、使ってくれた人がURLをシェアしてくれたおかげもあって、ツイッターのトレンドにも入れました。

PV数としては、公開1週間で20万PVほど。ツイッターの流入がほとんどで、あとはメディアでも取り上げてもらえて、という感じでしたね。

今でも、検索エンジンからの流入があり、月5万PVほどにはなっています。広告収益は毎月のサーバー代(+α)くらいにはなっています。

同人誌をつくっている方や、プロのデザイナーの方などにも、ニーズがあったようで、想像していたより多くの人につかってもらえました。

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※2018年の7月に公開。一番勢いがあったのは「最初の1週間」で、初日が11万PVで、翌日が5万PVだったそう。最近は月5万PV程で安定している。

振り返ってみて「上手くいった工夫」をあげるとしたらどこですか。

試したフォントで「好きな文字」を入れて、URLをシェアできる機能を入れたところ、たくさんの人がSNSでシェアしてくれたことです。

URLがシェアされたときに、タイムライン上で「OGP画像」が見やすくなるように、文字数やサイズは事前に調整してありました。

とにかく「フォントを試してシェア」までの導線を短くしようと意識して、そのために「文字の色や大きさ」を変える機能も削りました。

削れるところは削って、簡単にフォントを試せるようにして、SNSでもシェアしやすくする、という導線が上手く回ったのかなと感じます。

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いまは受託開発がメインとのことですが、独立してからの「お仕事」はどう探しているんですか?

ほぼ知り合いからの紹介です。こういう個人的なプロダクトを出しておくと「すぐこれをつくれる人なんだ」と伝わるのは良いですね。

あと、前職はカヤックで働いていたのですが、退職した後にも「自分が担当した案件」のページを残してくれるんですよ。

なので、それを見て「お仕事の声」をかけてくれる人もいて。

実績を残してもらえるのなら、この会社に入りたい人もいると思いますし、双方にメリットのある良い仕組だと思います。

カヤックは「クリエイター気質」な人が多くて、月1で業務外でつくった個人プロダクトの発表会があったりと、働いていてたのしい会社でしたよ。

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※カヤックの公式HPより。なお「ためしがき」は、最近はアップデートまで手が回っておらず、もしシナジーの見込めるデザイン・フォント系の企業などがあれば、事業譲渡も検討しているとのこと。

ためしがき(https://tameshigaki.jp/)
開発者のツイッター:@nabettu

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◎2、AI問診「Ubie」が語る、高齢者むけのUIデザイン

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※Ubie株式会社 森 俊彦さん、三橋 正典さん

「Ubie」について教えてください。

森:
病院で患者さんにタブレットで問診してもらい、お医者さんの負担を減らしつつサマリー化した情報を届けるという、AI問診サービスです。

お医者さんは忙しく人手不足になる一方で、待合室では患者さんが手持ち無沙汰になっているので、そこの課題を解決したいと考えています。

いまのところ、約100件の医療機関に導入いただいていて、外来の問診時間を1/3に短縮できた事例も出てきています。

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※2017年に創業した会社(社員30名)

どんなところにこだわっていますか。

森:
病院にくる患者さんは高齢者の比率が高いため、高齢者向けのUIデザインには力を入れていて、いろいろと試行錯誤しています。

実は、初期は「患者さんの気持ち」で考え抜けていなくて、導入3日で患者さんにつかわれなくなり、解約になってしまうこともありました。

それ以降は、日比谷公園でタブレットを触ってもらうなど、ユーザーインタビューや観察を通して、高齢者でもつかえるデザインを追求しています。

結果、いまではタブレットでのAI問診で「患者さんの9割以上」に、最後まで回答してもらえるまでに改善できました。

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※病院での「初診患者の40%は70代以上」というデータもあるそうで、全年齢につかってもらうには、高齢者でもつかえるデザインにする必要がある。

▽ 通じなかった常識1 「スライドバーよりボタン式」

三橋:
もともとは、スライドバーで「どれくらい痛いですか?」と聞いていたのですが、これだと「どう動かせばいいか」を理解してもらえませんでした。

そこで、日常的に使われている「ウォシュレット」を参考に、ボタン式のUIに変更したところ、スムーズに回答してもらえるようになりました。

結構、銀行のATMだったり、切符の券売機だったり、高齢者にも広くつかわれている端末を観察すると、UIのヒントが見つかることが多いです。

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▽ 通じなかった常識2「文字入力のとき"あいうえお順"になっていることが伝わらない」

三橋:
困っている症状を聞くときに、最初はキーボードを白くしていたところ、文字がどこにあるか探せない、という方が出てしまいました。

原因としては、文字が「あいうえお順」で並んでいるという、僕らが当たり前だと思い込んでいたことが、上手く伝わらなかったためです。

そこで、カラオケの「デンモク」を参考に、一列ごとに配色を変えるようにしたところ、「あいうえお順」だと伝わるようになりました。

また、1文字入れると予測で「症状のサジェスト」が出るようにして、なるべく文字入力する必要がないようにも、工夫しました。

カラオケだと通常、右側にサジェストがでるのですが、それだと右手にかぶって気づかれにくいため、左に出すように改善しました。

これらは、一般的には「イケてるUI」ではないと思うのですが、実際にはUIデザインを改善した瞬間に、ものすごく回答率が高まったんです。

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▽ 通じなかった常識3「タッチペンを渡すと"書くもの"だと認識されてしまう」

三橋:
高齢者がタブレットを操作するときに、指が乾燥していたり震えてしまうことで、ボタンがなかなか反応しない問題が起こりました。

そこで、タッチペンを渡して「これで入力してください」と伝えたところ、ペンを手で持ったまま「指でタッチする人」が多かったんですね。

おそらく、「ペンは書くものである」という認識になっていて、「ペンでタッチ操作してほしい」という意図が伝らなかったんです。

ペンを渡すだけでは解決しなかった。ペンというのは直感的ではなかった。そういうことがありました。

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大体何歳くらいからUIへの感覚が変わってきますか?

三橋:
60〜70代から変わってくると感じます。ただ、年齢というよりは「普段からスマホを使ってるか」によっても、感覚が大きく変わると感じます。

自分の祖母は「80代後半」なのですけど、普段からスマホは使っていて、タブレットを渡しても、わりと使えているんですよ。

なので、普段からデバイスに親しんでいるかによって、ユーザーとしての感覚も変わってくるのかなと、考えています。

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Ubie(https://ubie.life/
森さん(@moriudon0626)、三橋さん(@3284_m

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3、建設業者マッチングサービス 「ツクリンク」

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ツクリンク(https://tsukulink.net/
ツクリンク株式会社 湯本 明信さん(@kuronekopunk

4、女性向けネット診察サービス 「スマルナ」

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スマルナ(https://sumaluna.com/
ネクストイノベーション株式会社 大沼 康宏さん

5、スマホ保険アプリ「justInCase」

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justInCase(https://justincase.jp/smartphone/
株式会社justInCase 木庭 有基さん(@koba_tokyodays

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