プロダクトの運営に役立つ「なるほど施策」30個まとめました(2020)アプリの継続率を40%改善、価格変更で客単価が2倍など
2020年に取材した記事から、参考になりそうな施策や洞察をまとめました。※数値などは取材当時のものです。
1、「同じ時間×同じ場所」で使う人は継続する(mikan)
英語アプリ「mikan」では、インタビューを基に「同じ時間に同じ場所で」つかうユーザーは、継続する可能性が高いことを特定。
たとえば、お風呂の時間に使います、電波の弱くなる地下鉄で使います。「この時間にはmikan」と決めている人が継続していた。
そこで、チュートリアルに「リマインダー」を追加、決まった時間にmikanを思い出してもらえるよう工夫。さらに目標の設定も追加。
すると、①目標と②リマインダーによる効果で、プッシュ通知の許可率が40%→55%に上昇。結果、7日後の継続率も40%改善した。
2、サブスクに長期プラン追加で月収益2.5倍に(mikan)
mikanでは、サブスクリプションのプランに、月だけではなく半年と年間のプランを追加したところ、月間収益が2.5倍に伸びた。
当初は「収益を先食いしただけでは」と疑ったが、分析してみると1ユーザーあたりの収益(LTV)も大きく改善されていた。
ページへの流入ユーザーにおける「サブスク加入率」も2倍になっていて、選択肢が広がったことで加入しやすくなる効果もあった。
3、グローバルでのYouTubeマーケティング(HiNative)
言語QAアプリの「HiNative」では、2017〜2018年にYouTubeマーケティングを900本ほど実施したことが、MAU 1,000万人の到達に貢献した。
これは各国の「語学系や旅行系」など、自社サービスと相性の良いYouTuberにアプリの紹介をプロモーション依頼する、という内容。
YouTubeで紹介されることで、口コミなどで自然流入が増える効果もあり、口コミ効果も含めると「1ユーザー登録9円」で拡大できた。
アプリ紹介動画は「チュートリアル」のように機能するため、YouTube経由のユーザーは、翌日の継続率が10%(+10pt)高かった。
4、バーチャルな人間関係からユーザー拡大(パラレル)
スマホゲームを遊びながらつかう、ボイチャットアプリの「パラレル」が、2020年頃から大きく成長している。
このアプリは、LINEが「電話帳」から一気に広まったように、ツイッター連携から「バーチャルな人間関係」を起点に広まっている。
今や、ネット空間上に「バーチャルな友達」がいるのは当たり前であって、そのバーチャルな人間関係の接続点は、ツイッターが担っている。
そのような、ネット友達との「たまり場」として、放課後の部室のような「待ち合わせ場所」として受け入れられていて、実際に「1日平均200分」という通話データは、その特徴を物語っている。
5、使ってみないと「欲しいかどうか」わからない。ユーザーヒアリングの罠(パラレル)
パラレルでは、公開前にヒアリングをしたときは「そんなの要らない」「LINEでいいです」という反応も多かった。
しかし、アプリを公開すると「高音質なボイチャ」に強いニーズがあった。つまり「それが欲しいかどうか」は使ってみないとわからなかった。
ユーザーは「必要ない」と言っていたけど、実際はつかってみるとわかる、ユーザーの「欲しいもの」であった。
6、認知度の高さより「専門性」に課金される(MOSH)
サービスEC「MOSH」が、MOSHの売上トップユーザーを分析してみると、インスタのフォロワーの中央値は「5,200人」だった。
これを、MOSHでは「認知度の高さ」よりも大事なのは「専門性」と分析。普通のインストラクターより「美尻の専門家」のような人が強い。
また「専門性」をSNSで発信していて、フォロワーが「専門性」に対して、納得感を持っていることも「課金される要素」として重要。
実際に、専門性の高さを武器にした、月600万円の売上のボディワーカー、月250万円の売上のカラーサロン運営者なども出てきている。
7、サポートは「LINE@+Notion」に集約する(MOSH)
MOSHでは、顧客サポートを「LINE@+Notion」に集約している。よくある質者や相談はNotionにまとめて、サポート時にURLを添えて回答する。
例えば「予約を増やすコツ」や「Zoomの使い方」など、Notionにページをつくっていて、ユーザーからもわかりやすいと好評。
アカウント開設後に、LINEの個人アカウントにも連携してもらうことで、予約や課金の通知も、見逃しにくいLINEで届けている。
8、その人に「ピッタリな音声」をどう届けるか(Radiotalk)
Radiotalkでは「誰にいつどの音声を届けるのか」という、音声のレコメンドアルゴリズムを常に改善している。
たとえば、コンテンツは「ネタと人と感情」の3軸で分けていて、それを人力と機械学習をつかって、107の軸に分類している。
漫画なら好きな「絵柄」があるように、音声にも好きな「声や話し方」というものがあるため、声質でもアルゴリズムを調整。
アルゴリズムの様々な改善により、1人あたりの消費コンテンツ数を、約2倍(4.0/day→7.5/day)に改善することができた。
9、リモート収録から配信者が増えた理由(Radiotaik)
Radiotaikで配信者が増えた、ひとつのきっかけは「リモート収録」の機能で手軽にゲストを呼べるようになったこと。
ゲストとして配信に出ることで「こんなに簡単なら自分もはじめよう」と、リモート収録が「配信のお試し体験」として機能した。
ゲストが呼べることで配信回数も増える、ゲストが配信者にも転換する、そういう良いサイクルが生まれた。
10、配信でコメントの多すぎる人「実は重要」(Pococha)
DeNAのライブ配信アプリ「Pococha」では、ファンコミュニティの中に、「突出したコメント数」のリスナーがいるかを指標にしている。
過去に、コメントの多すぎる人を「封じ込める施策」をとったところ、逆に「全体のコメント数」が減ってしまったことがあった。
これは裏返すと、ファンコミュニティの中で幹事やリーダーの役割をしていた人がいなくなったことで、場が回らなくなったということ。
その出来事があってから、コメント数が突出したリスナーがいることを、逆に重視するようになった。
11、コミュニティ内に「熱量や愛着」を生む(Pococha)
Pocochaでは、週に一定回数のコメントが生まれる「ライバーとリスナーの組み合わせ数」を、重要な指標としている。
この指標は「コミュニケーションチェーン」と呼んでいて、リスナーがライバーを「応援したい」と思える愛着につながると考えている。
持続的な熱量を生み出し、イベントやポコチャへの想いが、リスナーにとって「自分ごと化した物語」になることを目指している。
12、「オンライン修了証」がインドでの口コミに(Progate)
プログラミング学習サービスの「Progate」が、世界で150万ユーザー突破、海外ではインドでユーザー数が成長している。
インドでうまくいったのは、Progateで特定のコースを修了した人に、オンラインで「修了証を発行する」という機能。
なぜなら、インドでは就活で「Linkedin」が使われるが、学生がページに何を投稿したいかというと「就活のための実績」であるため。
つまり、Progateから「修了証」が発行されると、みんな喜んでLinkedinに載せてくれるので、そこから認知や口コミにつながった。
13、小型サイズでも「お任せしたい」ニーズ(メルカリ)
メルカリで「梱包・発送たのメル便」という、集荷や梱包をおまかせできるサービスを公開したところ、想定より「小さいもの」にニーズがあった。
理由は、子育て中の方など「外には出かけにくい人」が、小型品を梱包から発送まで任せたいニーズがあったためで、実際に小型サイズでは「新規の出品者率(初出品者率)」が高くなる、という結果も出た。
14、価格プラン変更だけで「客単価が2倍」(YOUTRUST)
キャリアSNSの「YOUTRUST」では、法人向けの有料プランの価格体型を、「成果報酬メイン→月額メイン」に変えたところ客単価が2倍に。
なぜかというと、月額で安くない金額を払うと「使わないともったいない」という心理になり、企業側が「ちゃんと使う」ようになるため。
この価格プランの変更だけで、解約率が半分になり、1社の客単価が2倍に。
「スカウト送信数」という重要指標も3倍に伸びた。
15、フードデリバリーは「同心円状」に広げる(Chompy)
フードデリバリーのネットワーク効果は「エリア限定」でしか機能しない。そのため「Chompy」では同心円状にエリアを拡大している。
例えば、渋谷の人が「このお店もある!」となる熱量は、三軒茶屋の人には伝わりにくく、注文率や満足度などエリアで差が出てしまう。
そのため「同心円状」にエリアを広げていて、獲得済みの店舗があるエリアから、地続きに拡大している。
16、レビューの「平均スコア」が持つデメリット(Chompy)
Chompyでは「レビューの平均スコア」を表示していない。理由は「ニッチだけど熱烈な支持」が評価されにくいため。
Chompyで、麻婆豆腐の店を分析したところ「辛い」などの意見が多く、「評価の二極化」によって平均スコアが低くなっていた。
平均スコアは、ニッチジャンルの「美味しいもの」は低く評価されやすく、逆に「大衆受けする優等生」は評価されやすい、という特徴がある。
すると安定感はでるが尖りがなくなる。もっとグルメは多様であっていい。それらを尊重するため平均スコアを表示しない。
17、献立アプリの「レシピのレコメンドの工夫」(タベリー)
献立アプリ「タベリー(現在はサービス終了)」のレコメンドの工夫。
ユーザーが「なにを美味しいと感じるか」を数値化するのはむずかしい中、ひとつ効果的だったのが「協調フィルタリング」の活用。
これは、Amazonの「この商品を見ている人は〜」と同じような仕組みで、好みが似た人のデータをもとに、レシピを提案したら数値が伸びた。
18、ユーザーの声を広告にしたらユーザー急増(Spoon)
国内で月95万の音声ライブ配信が行われる「Spoon」では、ユーザーの声をつかった広告を配信したことが、ユーザー急増のきっかけになった。
ユーザーの「生の音声」を広告にすると効果も改善。通常の広告と比べると、1インストールの集客コスト(CPI)が30%改善された。
とくに、寝落ち系や彼女風などの「癒し系の訴求」は効果がとても高くて、Spoonの国内ユーザー数の拡大に貢献した。
19、失敗プレイを見せると「遊びたくなる心理」(カヤックのハイパーカジュアルゲーム)
カヤックさんでは「ハイパーカジュアルゲーム」の広告プロモーションを、基本的には「失敗ベース」でつくっているそう。
なぜかなら、成功プレイより失敗プレイを見せられたほうが「ちょっと1回やらせて!」と、心理的にゲームを遊びたくなるため。
広告をみてカジュアルゲームを遊んでもらうためには「遊ぶ動機」をつくる必要性がある。失敗プレイに共感してもらうのが重要。
20、正しい導線の設計で「予約率20%改善」(トリビュー)
1年で売上が10倍に伸びた、整形アプリ「トリビュー」では、ユーザー投稿ページから「予約ボタン」を減らしたところ、予約率が20%も改善。
なぜなら、体験談を見てもすぐ予約しないから。ユーザー行動に合わせて、予約ボタン→クリニックの詳細をみる、に変更して予約率が上がった。
21、エゴサして「お礼+レビューのお願い」(ケアミー)
生理管理アプリ「ケアミー」では、毎日ツイッターで「ケアミー」と検索、利用者に「ありがとうございます」と伝えている。
アプリの利用者が「満足していそう」だったら、AppStoreのリンクを送り、レビューをお願いしている。書いてもらえることも多いそう。
22、ユーザーヒアリングは「一人ずつ実施」して同調を防ぐ(ケアミー)
ケアミーが語るユーザーヒアリングのコツは「複数ではなく一人ずつ聞く」複数人グループで一緒にやると、他人の意見に流されやすいため。
とくに高校生は同調しやすく、テンションの高い子が「めっちゃいいよね」というと、周りも「いいね!」と同調してしまいがち。
23、エンディング後に「アプリのレビューをお願い」(忘れないで、おとなになっても。)
GAGEXさんのゲーム「忘れないで、おとなになっても。」では、クリア後にレビューのお願いをしたら、感想つきの高評価レビューが増えた。
エンディング後、そのままの流れで感想を書いてもらう。そうすることで、出来立ての一番熱い感情を、プレイヤーに書き込んでもらえた。
24、キャラに「戻ってコイ」語らせて休眠復帰(シノアリス)
シノアリスでは、ナビキャラのギシンとアンキがただ「戻ってコイ」と語る休眠復帰広告を出したら、通常のものと比較して費用対効果が2倍に。
長期間ずっと好調で、復帰コストも安く、定常的にボリュームもでるという条件を満たす「当たりクリエイティブ」になった。
25、日本と海外でのキャラ趣向の違い(アナザーエデン)
アナザーエデンでは、ゲームのキャラクターを広告に出しているが、日本と海外では「反応の良いキャラ」の傾向が違うという。
日本では、可愛いキャラを出すと「スキルや星」は関係なしに、クリック率が上がりやすく、新規ユーザーの反応が良い傾向。
一方、海外(台湾や韓国)では、強そうな「ゴリゴリマッチョ系キャラ」を広告に出したほうが、海外の人のウケが良いとのこと。
26、Slack起点のイベントで1,300人参加(Cocoda)
デザインコミュニティの「Cocoda」では、Motion Design Fesitvalという、オンラインイベントの開催が盛り上がった。
うまくいったのは、3週間のSlackのオンライン開催。成果物がSNSにシェアされることで、参加者が増えていった(初日 500人→最終日 1,300人)
27、なぜ「BLの読者」が増えているのか(ちるちる)
BL作品のレビューサイト「ちるちる」による、なぜ最近「BLコンテンツ」が広がってきているのか? という解説。
おっさんずラブのような「ライトなBL要素」を持つ作品 → スマホの無料漫画でお試し → BL作品に深くハマる、という流れができていると。
また最近は「オメガバース」という男性同士で妊娠できる、ディープな世界観の作品も増えているとのこと。
28、ビンゴに「他人のチェック率」を表示してプレイ数増加(めけぽんビンゴ)
個人開発のビンゴサイト「めけぽんビンゴ」。2020年3月は盛り上がって、月660万PVまで到達し、月100万円ほどの利益がでたという。
面白い工夫としては、ビンゴの結果で「他人のチェック率」を見られるようにしたところ、ビンゴのプレイ回数が伸びたこと。
理由は、アンケート代わりにビンゴが使われたり、他の人の回答をチェックするために、ビンゴを遊ぶ人がいるため。
29、不具合がでた時に「有料ユーザー」より無料ユーザーのクレームが多かった話(通話時間タイマー)
個人で開発している「通話時間タイマー」と「多機能でんわ」では、年間100万円くらいの収益が上がっている。
ツールアプリは、定常的なニーズがあるので、ずっと流行りも廃りもなく、ダウンロードが積み上がっていき、個人開発とも相性が良い。
興味深いのは、不具合が出てしまった時に「有料のユーザー」よりも、無料ユーザーからのクレームが多かった、という話。
有料のユーザーはクレームにならず、無料ユーザーから「通話代かかった。返金してくれ」という連絡が殺到。無料のユーザーに「コストに厳しい人」が想像以上に集中していた。
30、大企業とのタイアッププレスリリースは反響が大きい(Aidemy)
AI学習サービス「Aidemy」では、立ち上げ期において、プレスリリースを積極的に打つことで、問い合わせ数を増やすことに成功。
とくに「Microsoftの技術をAidemyを使いながら学べます」のような、大企業との「タイアッププレスリリース」は反響が大きかった。
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