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高くて売れなかった下着が、日商2,000万円に。OLがひとりで立ち上げた「24hブラ」の社長が語る、SNSの「クチコミの魔法」と、売上が30%アップした「24hサポート」の話

下着のD2Cブランド「BELLE MACARON」さんを取材しました。

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※ 株式会社ashlyn 代表取締役 小島 未紅さん

「24hブラ」について教えていただけますか?

小島:
1日中優しい着け心地をコンセプトにしたブラジャーです。仮眠をとるとき、旅行に行ったとき、などのシーンを想定して設計しています。

もともとは、自分がOLのときの「悩み」からはじまっていて、200万円の自己資金をもとに一人でスタートしました。

最初は、会社の昼休みに給湯室から、200の工場に電話をかけて、ブラジャーを作ってくれないかと、交渉するところからはじめました。笑

いまでは、最高の日商は2,000万円。ある月に購入した人が翌月も購入する「リピート率」についても70%を超えています

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はじめに「24hブラ」を出したときの手応えはどうでしたか?

小島:
ブランドのオープンが2017年、その1年後に「24hブラ」ができたのですが、はじめは自分の生活を支えられないほどに、売上は少なかったです。

OLとして働きながら活動していたので、生活面の焦りはなかったのですが、どうしたら売れるのかずっと悩んでいました。

ネット広告に少額で出してみたり、ECモールに出店したり、実店舗や通販に商品を置いてもらえないか頼んだり、いろいろと試しました。

ところが、断られるばかりで商品も売れず、全然うまくいかなかったです。

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※ 写真は「24hブラ」の商品開発のときに、色付けした生地を自宅のキッチンで煮込んで「理想の色」を開発している様子。試着を繰り返して「理想のフィット感」になるまで調整した。商品力の高さには自信はあったが、初期はほとんど売れなかった。

何がキッカケになって、売れはじめたのでしょうか?

小島:
ツイッターで、ブラジャーの悩みについてのコンテンツを発信したところ、共感してくれる人が少しずつ増えていったんです。

はじめに話題になったのは、発信をはじめて2ヶ月目に「ブラジャーの干し方」のツイートが4.8万いいねされたことでした。

そのときに、ツイートのリプ欄で「バズったので宣伝します」と24hブラを紹介したところ、はじめて日商が10万円を超えたんですね。

ツイッターでは、やっぱり「共感コンテンツ」がすごく強くて。こんな悩みがあった、こういう地獄があった、そういう話が受け入れられやすい。

そこからはその繰り返しで、共感コンテンツに興味を持ってくれた方が、商品を買ってくれて、少しずつクチコミが広まっていきました。

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でもどうして「ECに出店するだけ」では売れなかったのに、ツイッター経由だと売れたのですかね?

小島:
商品力の高さや価格への「説得力の差」だと思います。SNSはクチコミから買ってもらえたり、運営者の想いを見てから買ってもらえます。

でも、いきなり通販に「無名の高いブラジャー」を並べても、それは買われないですよね。ポンと5,000円以上を払ってもらうなんて難しい。

通販のブラジャーって、2,000円くらいのものも多いので、安いブラジャーを探している人に、高いブラジャーを売るようなもの。

もっと「商品力の高さ」や「なぜこの値段なのか」を伝えないといけなかったのかなと。例えば、国内工場でつくっています、バストラインも綺麗に見えますとか。

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なるほど。「購入までの体験」がそもそも違うんですね。

小島:
ひとつ参考にしていたのは、ミスターチーズケーキさんの購入体験です。

ミスターチーズケーキさんって、チーズケーキの中ではわりと高めですし、あくまで価格だけで考えると、わたしは「ただ駅中で見かけただけ」では、きっと買わなかったと思うんですよね。

でも、SNSで「ミスターチーズケーキおいしかった」という感想を見たら、奮発して買おうかなとなる。それが、SNSのクチコミの強さです。

同じように、ただ「5,000円以上のブラジャー」があっても買わないけど、SNSの力があると信頼性や説得力が高まり、後押しされるのかなと。

お客様のクチコミって、すごく強いですし、購買意欲をとても掻き立てる。それは、モールや実店舗にただ並べるのにはない力なのかなって。

SNSクチコミ

ほかにも「SNS経由だから売れた理由」はありますか?

小島:
あと「顔が見える」のもあるかなと。野菜とかも「生産者の顔」が見えると食べたくなったり、ドキュメンタリー番組を見ると応援したくなる。

それと同じで、SNSでわたしが過去にどんな仕事をしていたか、どんなこだわりがあるかが発信できると、興味を持ってもらいやすいのかなと。

わたしも、はじめは「高いから売れないのか」と価格に課題を感じていた。でも実際には、品質やブランディングがあれば、そこは超えられるものだったんですよね。

むしろ値段は多少高くても、ターゲットにちゃんと届いて、品質が高いことが証明できれば、ちゃんと需要があると思えるようになりました。

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そこから「24hブラ」の売上はどう伸びていきましたか?

小島:
起爆剤になったのは、ツイッターをはじめて半年後のセールでした。当時は月商100万円程でしたが、3ヶ月分の在庫を用意してのぞみました。

セールの結果は3日で完売。そこから2ヶ月程は「入荷待ち」になりました。すると「買いたくても買えない」というクチコミも増えてきて。

すると「幻のブラ」とメディアでも紹介いただき、意図せず「プレミア感」が生まれてきて、それも勢いにつながったと感じます。

そこからは、セールの度に「最高日商」が伸びていき、今は日商2,000万円まで到達できました。お客様のクチコミのおかげです。

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※ 現在、ブランドは「1人で運営」しているそうで、発送など外部パートナーの力も借りつつ、商品開発・サポート・SNS運用など、社長が1人で行う。元エンジニアのスキルを活かして、自作ツールで作業も効率化している。

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ECサイトの運営で「これは効果があったな」という施策があれば教えてください。

小島:
LINE公式アカウントで「お客様へのサポート」を強化したことは、実際に売上も伸びてよかったなと思います。

SNSだと、投稿がみたいだけで「買いたい人」ではないことも多いですが、LINEに登録してくれる方って、本当に「今買いたい人」が多いんですよ。

実際に、LINEに登録してくださる方は購入力が高くて、公式LINEをはじめてから、売上も30%ほど上がったと思います。

LINE登録者って、購入力が高いユーザーなので、それに客単価を掛けると、おおよその「年間の売上」まで割り出せたりするくらいですよ。

なので、一度サイトに来てもらったら、なるべくLINE登録して帰ってもらいたいと思っていて、そうなるような工夫もしていますね。

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※ LINEの登録者は「1万人以上」になっている。

どんな工夫をして「LINEの登録」をしてもらっていますか?

小島:
LINEでのお問い合わせには、24時間以内に返信するサービスをやっていて、サイズの相談などにも、わたしがすべてお答えしています。

LINEでサクッと質問して「返品できますか?」「授乳中にも使えますか?」とか購入前の不安に、すぐ回答がきたら安心できますよね。

お客様からすると、有名ではないブランドの通販で買うって、抵抗もあると思うので、信頼性や安心感を高められる効果もあると思います。

ほかにも「ECサイトで意識してること」はありますか?

小島:
ECサイトには「文字の情報量」を多くすることを意識しています。例えば、どんな工場で作ってるかとか、代表からのメッセージなどですね。

わたしも、お客様はこの文字を「一言一句は読まないな」とわかってます。でも、情報の多さは「信頼性を高める効果」があると考えていて。

例えば、機能性の高い掃除機でも、表や実験の結果がのっていたり、学者も認めていますというコメントがあると、信頼できそうだと感じます。

もちろん、本当にこだわった部分、正しい情報を記載するのが前提ですが、

ほかとは違うと思ってもらう、商品を信頼してもらうために、デザイン性が多少崩れてでも説明を細かく記載して、情報量を多くしています。

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情報量

世の中のトレンドとして、「24hブラ」の販売を後押しているなと思うものって、なにかありますか?

小島:
「おうち時間」にかける、お金が増えていることです。

「24hブラ」をつけると、リモートワークの休憩にお昼寝したいときにも、そのまま快適に眠れたりもします。

つまり、おうち時間をより快適にするアイテムなんです。そうしたものに、お金をかけたい方が増えていると感じます。

あと、ワイヤーブラは基本「手洗い前提」で設計されてますが、「24hブラ」は洗濯機も歓迎なので、お手入れが簡単という声も多いですね。

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【取材協力】
株式会社ashlyn:https://www.ashlyn.co.jp/
BELLE MACARON:https://www.bellemacaron.shop/
小島さん:@milkonPANDA

【告知】「24hブラ」が気になった方は、以下のサイトよりどうぞ。奥さんやパートナーへのプレゼントとしても、オススメだそうです。

※ 以降は、マニアックな事例を5つほどnote 購読者向けにまとめています。ECサイトのCVRを3倍に高めた話、CVRを高めた決済サービスのポイント、写真のせやすくなるパッケージの工夫、などご興味あればご覧ください。

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