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5億円で買収した「パズル懸賞アプリ企業」の売上が2年で10倍に。オーテが直面した「ユーザーの顔」が見えない問題の克服法。グロースの背景にあった「2つの施策」

「パズルde懸賞」シリーズの、オーテさんを取材しました。

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※ オーテ株式会社 代表取締役 早瀬 優希さん

アイモバイルさんが、オーテ社を「買収した経緯」について教えてください。

早瀬:
もともと、オーテは2人のアプリ開発者が立ち上げた会社で、2019年の8月にアイモバイルが買収することになり、現在は15名ほどになっています。

はじまりは、M&Aの仲介会社から話があり、そこから交渉を進めていって、アイモバイルによる買収が決まった感じですね。

もともと、僕はアイモバイルで「maio」という広告サービスのPMをしていたのですが、この話があったときに事業計画を立てて、オーテに取締役として参画することになりました。

オーテは、「パズルde懸賞」シリーズと呼ばれる、パズルと懸賞が融合したアプリを運営している会社になります。

早瀬さんが事業計画を立てて、買収にも携わったそうですが、なぜ「伸ばせそうだ」と思ったのでしょう?

早瀬:
簡単にいうと、ユーザーの継続率はすごく高かった(1日後の継続率 50%)のですが、広告の収益性には「伸び代」があったんですね。もちろん、利益は出ていたのですが。

なので、2人で「良いアプリ」をつくれていたけど、マーケティングはできていない状態で、事業として伸ばせるのではないかと考えました。

買収から2年たちましたが、最近では「アプリの売上や数値」は、どれくらいに伸びていますか?

早瀬:
買収時と比較すると、会社の売上は約10倍になっています。ダウンロード数でいうと4倍、MAUは2〜3倍になっていますね。

予測よりもずっと良い結果です。上振れた理由は、想定以上に広告の収益性を高められたことで、広告出稿でユーザーの獲得が進んだためです。

現在「パズルde懸賞」シリーズは、累計1,100万ダウンロード、MAUは130万人という規模になっています。

アクティブユーザーあたりの、1日のプレイ時間は平均50分。今でも変わらず「長く続けてくれる人」がたくさんいることが強みです。

買収後にやったこと① 「みるべき指標(KPI)を整理」

早瀬:
KPIを整理することに、すごく時間をかけました。当たり前ですが、分解したときに「どの指標」を追っていけば、事業の成長につながるのか。

例えば、マネタイズとエンゲージメントを、分けて判断できるようにしました。KPIをみんなが「常に見える状態」にすることも大事でした。

買収後にやったこと② 「ユーザーを深く理解する」

早瀬:
ユーザーを「理解すること」も重要でした。今力を入れているのはユーザーに直接インタビューして聞くことですね。

もともと、自分たちでつくったアプリではないので、プロダクトの理解が乏しかったんですよ。ユーザーの顔が見えていなかった。

ユーザーの理解ができないと、正しい施策も打てません。問い合わせ件数の多さとか、感覚で施策を打ってしまったりします。

だから、売上は順調に伸びていても、ユーザーのことはわからない。自社のプロダクトを理解できた感じが、ずっとしなかったんですね。

これは明らかに課題だなと。限界が来るなと思って。ただ広告収益を伸ばして、ユーザーを獲得するだけでは、絶対に鈍化してくるだろうと。

なぜなら長期で成長するには、ユーザーがどうすれば満足してくれるのかを追求して、プレイ時間や継続率を、伸ばしていく必要があるから。

ユーザーをインタビューして「理解を深めていく」と、どんなことがわかってきましたか?

早瀬:
例えば、パズルアプリは「競争」の概念が薄くて、自分のペースでやりたいときに、暇つぶしでやるものだという認識は、みんな共通していて。

そうなると、競争心をあおるランキングとか、攻めすぎたプッシュ通知は、きっとユーザー心理的に合わないだろう、とわかります。

意外だったのは、ユーザー数の一番多いジグソーパズルの懸賞アプリには、紙のジグソーパズルが好きなユーザーが、とても多かったことです。

それも「置き場所」がないからアプリでやる人が多い。ジグソーパズルって額に入れて、部屋に飾っていくから、置き場所がなくなってくると。

つまり、つくって額に入れて飾るまでが、ジグソーパズルのUXなのだなと。きっと、簡単に捨てられるものでもないのだと思います。

そういう話を聞くと、アプリにも「完成したパズル」を見返せる、ギャラリー機能があったほうがいいかも、とわかってきますよね。

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なるほど。ほかにユーザーに聞いてわかった話はありますか?

早瀬:
「ロジックde懸賞」というアプリで、指で画面を操作しているとミスタッチするので、「十字キーがほしい」という要望がたくさんあって。

それで、本当に求められているのか、ユーザビリティテストをしてみたら、「十字キーモード」をほとんど誰もつかわなかったんですね。

実は「ほしい」と言ってくれたのは「一部の人」だけで、ほとんどの既存ユーザーにとっては「不要なもの」だったんです。

機能を本開発する前に「ユーザーの生の声」を聞くことで、本当にいる機能なのかを判断して、優先順位を決める助けになりました。

データ分析よりも「ユーザーの声」から施策を打つ理由

この話はUXリサーチに詳しい、外部アドバイザーの受け売りでもある、とのこと。

ユーザーインタビューをするようになってから、チームには「どういう変化」が起こりましたか?

早瀬:
定性面をすごく大事にするようになって、アプリを遊んでくれるユーザーのために、機能を開発するようになりました。

空論で話していたものが、実体化してきたんです。多分こうなのかなという仮説が、線でつながる感覚がすごくありましたね。

サービスに自信が持てるようになって、組織内での意思決定も速くなって、運営メンバーのモチベーションも変わってきました。

ビデオ通話でユーザーの顔を見ながら、こうやって楽しんでくれているんだとわかると、作り手として嬉しくなるからだと思います。

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デザイナーやエンジニアも交えて、みんなで「施策の会議」などをしているそう。

施策① 大型キャンペーン「超懸賞祭」で収益が増加

早瀬:
うまくいった施策でいうと、超懸賞祭はとてもうまくいきましたね。これは総額600万円相当の懸賞品が当たる、というキャンペーン企画です。

成果としては、通常時のDAUとの差分で、積み上がった分から発生した収益と、懸賞品のコストを計測したところ、利益も大きくでました。

復帰したユーザーが増えたり、期間中にたくさん遊んでくれる人が増えた、という感じです。全体でのアプリ起動時間も5%伸びました。

施策② 動画リワード広告の「収益比率が15倍に」

早瀬:
もともとは、動画リワード広告を、パズル中やログインボーナスのときに「ヒントメダル」がもらえるようにしていました。

それを、懸賞に必要な「応募ポイント」がもらえる形で、2箇所に動画リワードを追加した結果、動画リワードの収益比率が15倍に伸びました。

ヒントメダルでは、つかう人が限られるため、懸賞の応募ポイントのような、全ユーザーがほしいものを設定したほうがよかったです。

施策③ コラボ型の懸賞がうまくいった

早瀬:
スポンサーに懸賞品を提供してもらったところ、応募数はもちろんですが、提供元の商品のAmazonページの、アクセス増(130%アップ)にもつながりました。

こうした取り組みが増えたほうが「このアプリはちゃんと運営されている」という、ユーザーの信頼にもつながると考えています。

アイモバイルでは、「アプリ企業の買収」は今後もしていく予定なのでしょうか?

早瀬:
アイモバイルでは、最近「シンプルダイエット」というアプリの運営会社の買収も発表しましたが、今後も意気込みとしてはありますね。

グロースの余地が残っているアプリを買収して、伸ばしていく動きは可能性があると思います。


【取材協力】
オーテ株式会社:https://ohte.co.jp/
ジグソーde懸賞:App Store / Google Play 
オーテ 早瀬さん:https://www.facebook.com/hayase0218

【告知】オーテさんでは採用も募集中。今は新規アプリの開発などにも力を入れているそう。アプリ開発者で、ご興味ある方は下記サイトよりどうぞ。

※ 以降は、マニアックな事例を5つほどnote 購読者向けにまとめています。買収時に「売る側」は強みと思っていないけど、買う側は価値を感じたところ、プレイ時間を伸ばした施策、などご興味あればご覧ください。

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